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2014年02月27日

第2回こにだブックトーク冬の会レポート


1月12日(日)に、おすすめの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク冬の会』という催しを行いました。
当日お集まりいただいたのは男女11名。市立図書館館長さんもご参加くださり、幅広い年代のみなさんと一緒に、本について話したり、聞いたりの2時間となりました。軽く自己紹介をしていただいた後、さっそくブックトーク開始です。

Iさん
■「火山のふもとで」松家仁之/著 (新潮社)
国立現代図書館の設計コンペに参加する、ある設計事務所を舞台にした小説です。図書館でお薦めするのにピッタリだと思って、持ってきました。
主人公はその事務所に就職したばかりの青年。彼を縦糸に、そして彼の師である老建築家を横糸にして、建築が持つ機能や意味、コンペの行方、青年の恋、老建築家の老いなどが描かれています。
人間ドラマの味わい深さもありますが、建築家見習いの若い主人公の目を通して描かれる、実在する教会や図書館といった建物のディテールや考え方が、建築素人の自分には大変新鮮で興味深く感じられました。ネットでは、師のモデルが吉村順三だと話題になっていました。 
【市立図書館蔵書あり】本館/一般開架 請求記号//マツイ/ 資料コード01510367

■「華氏451度」レイ・ブラッドベリ/著 (早川文庫)
本をめぐる、ディストピアもののSFです。
この世界では本を持つ事が禁止されており、主人公は本を焼く=焚書を仕事としている中年の男性。彼がある少女に出会った事をきっかけとして、本に目覚め、そして追われてゆくストーリーです。暗い話ですが、最後にちゃんと解決方法が呈示されていて、ちょっとほっとします。
60年も前に書かれたSFですが、古びておらず、自分の頭で考える重要性を感じさせてくれるなど、普遍的な面白さがあります。
【市立図書館蔵書あり】本館 文庫新書コーナー 請求記号/933.7/ブラツ/ 資料コード 01513088


Yさん
■「光」三浦しをん/著 (集英社)
2008年に出た本です。東京のある島が津波に襲われ、全滅する中で、小学生と中学生の子供たち5人だけが生き残ります。その子供たちの将来が描かれてます。
おそろしい事が次々起こり、衝撃のエピローグを迎えます。「光」というタイトルですが、むしろ「闇」のような結末です。人はみんな「光」と「闇」を持っているのだという想いに至りました。
映画になりそうなお話です。
【市立図書館蔵書あり】本館一般開架・東部分館 請求記号//ミウラ/ 資料コード本館01475936 東部分館01475925

■「かわいそうだね?」綿矢りさ/著 (文藝春秋)
自分の彼が元彼女を居候させると言いだす事からはじまる、ドロドロしたお話です(笑)。
最後に女の子が大阪弁で罵倒するシーンがありますが、そこでスカッとしました!
【市立図書館蔵書あり】本館一般開架・東部分館・北部分館・霞城分館 請求記号//ワタヤ/


Ohさん
■「ボーンコレクター」ジェフリー・ディーヴァー/著 (文藝春秋)
元犯罪科学者のリンカーン・ライムシリーズの第1作目。
仕事中の事故で障害をおい、寝たきりになったライムは、婦人警官のアメリア・サックスをアシスタントとして、ベットの上から捜査に当っています。
アメリアとケンカしながらも、豊富な知識を駆使して、ライムが犯人を追いつめていく様子に夢中になりました。
今回の犯人は骨に執着するボーンコレクター。終盤にその犯人が動くことのできないライムの元にやってくるのです。どんでん返しの名人と言われるジェフリー・ディーヴァーなので、最後まで気が抜けません。アメリアの成長も読みどころのひとつです。
映画にもなり、デンゼル・ワシントンがライムを、アンジェリーナ・ジョリーがアメリアを演じています。
【市立図書館蔵書あり】本館 一般開架 請求記号/933.7/デイハ/ 資料コード01298633

Arさん
■「ナマコのからえばり」椎名誠/著 (集英社)
「好きな酒の肴はウニ、ホヤ、ナマコ」という椎名誠が、爽快に豪快に書いているエッセイです。
サンデー毎日に連載したもので、くだらない(?!)ギャグも沢山ある楽しいエッセイです。シリーズ化しています。楽しい話が好きな自分には大変面白く読めました。
息子岳さんの子供について書いた「三匹のかいじゅう」もお薦めです。椎名誠もイクジイしています。
【市立図書館蔵書あり】本館 一般開架 請求記号/914.6/シイナ/ 資料コード01472813

Adさん
■「古事記 いのちと勇気が湧く神話」大塚ひかり/著 (中公新書)
読んでみると、古事記の登場人物も、今の現代人と同じような悩みを抱えていることがわかりました。
古事記が身近に感じられる一冊です。
例えば、アマテラスオオミカミが天岩戸に隠れたのは現代のひきこもりに通じるものだったとか、スサノヲノミコトが暴れたのは、一種の家庭内暴力では、、、等。
天孫降臨のシーンは、スターウォーズを見ているような光景とのこと。きっと多くの方に古事記を身近に感じていただけると思います。
【市立図書館蔵書なし】

■「もろさわようこの今昔物語集 わたしの古典」(集英社)
現代人が古典を解釈しなおすと、新しいおもしろさが見えてきます。
【市立図書館蔵書あり】本館 地下一般 請求記号/913.3/モロサ/ 資料コード01157424

Tさん
■「おどろきの中国」橋爪大三郎・大澤真幸・宮台真司/著 (講談社現代新書)
中国について、3人の社会学者が鼎談しています。
中国との関係が取りざたされており、中国という国を知りたいと思い手に取りました。「そもそも国家なのか?」という刺激的な帯コピーが目を引きます。
「広い国土を持つ中国で、漢字という文字の誕生した意味」、「皇帝世襲や科挙の試験の目的」、「日本に対する認識の歴史」等が語られています。
科挙の試験は、実力でぶつからないようにするため、生み出されたシステムだとのこと。実力がある者が権力をもつべきと考えて歴史を歩んできた日本との違いを感じました。
なぜ日本人の常識が通用しないのかという疑問へのヒントを与えてくれる内容になっています。
この3人で書いた「おどろきのキリスト教」もおもしろい本でした。
【市立図書館蔵書あり】本館 文庫新書コーナー 請求記号/302.2/オドロ/ 資料コード01514303

Nさん
■「雪のひとひら」ポール・ギャリコ/著 (新潮社) 
「ある寒い日、雪のひとひらは生まれた」という冒頭から始まる小説です。
雪になぞらえて、ひとりの女性の誕生から死までの一生が、ファンタジックな形で描かれています。訳は矢川澄子さんです。
【市立図書館蔵書あり】「雪のひとひら」本館 地下一般 請求記号/933.7/ギャリ/ 資料コード41017622

■「私家版雪ことば事典」 八島信雄/著 (遥かな日のつどい刊行会)
同じく、雪について書かれた本としてこちらもお薦めです。「雪深い郷の百物語」という副題がついています。
作者は山形在住で、雪の仙人とも呼ばれています。作者の方に私がお薦めした「雪のひとひら」をエピソードも書かれており、自分にとってはとても思い出深い一冊です。
市立図書館ボランティアで選考している『小荷駄のみどり』出版文化賞を受賞しています(第4回)。
【市立図書館蔵書あり】本館一般開架 請求記号Y/94/ヤシマ/ 資料コード 01365851

Tさん
■「死ぬ瞬間と死後の生」 エリザベス・キューブラ・ロス/著 (中公文庫)
作者はホスピスの普及を後押ししたアメリカの精神科医。アメリカでは早くから末期患者の精神面の救済が必要とされ、死生学が発達しています。
この本では、「死はひとつの自然現象で、客観的に淡々と受けいれる事が必要」と説いている。また「死の瞬間を遠ざける事もよくない、死を通して沢山学ぶべきことがあるので大切にしよう」とも訴えています。
この点に自分も共感しました。というのも、自分自身は、かつて義父をみとった事があり、その時にどういう気持で亡くなったのかを聞くことができなかった事を大変後悔しているからです。これからは死にゆく人ももっと発言していったらよいと思っています。
読後、もっとがんばろうと元気になれる本です。死を考える事は、生きる事なのだと気づきました。
【市立図書館蔵書なし】

Obさん
■「念力家族」 笹公人/著 (インフォバーン)
現代日本の短歌集です。
短い言葉なのに、情景や状況がポンと頭に浮かびます。一種、マンガ的でもあり、現代短歌のとっかかりになる一冊だと思います。
【市立図書館蔵書あり】本館 一般開架 請求記号/911.1/ササキ/ 資料コード01350593


最後は時間をオーバーし、駆け足になってしまいました。進行をもっと工夫したいと思っています。ご参加のみなさん、ありがとうございました。
次回の“こにだブックトーク”は、4月20日に春の会を行う予定です。ぜひご参加ください。

第2回こにだブックトーク冬の会レポート



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Posted by 図書館ボランティア「小荷駄のみどりから…」 at 13:15│Comments(0)イベント開催報告
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