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2016年10月03日

ブックトーク10月開催のご報告

 こにだブックトークを、去る2016年10月1日に開催しました。
 初めて参加の2名を含む9名が参加し、あれやこれやとさまざまなお話が交わされました。

ブックトーク10月開催のご報告



Aさん
(1)『ひみつの王国 評伝 石井桃子』尾崎真理子著(新潮社)
 石井桃子についていろいろな人にインタビューした内容を繋ぎ合わせて、分厚い本になっている。児童書の翻訳などで活躍した石井さんの一生はどんな人生だったんだろう?と思って惹き込まれた。最後まで訳を修正しなくちゃと言いながら、101歳でスプーンを持ったまま亡くなったという。
(2)『石井桃子のことば』中川季枝子・松井直・松岡享子・若菜晃子ほか著(新潮社)
 上記の本と相俟って、石井桃子の翻訳家としての凄さを感じた。

Bさん
(3)『昔話はなぜお爺さんとお婆さんが主役なのか』大塚ひかり著(草思社)
 たくさんの資料や史料を用いて、老人はなぜ働き者なのか、なぜ昔話のお爺さんとお婆さんには子どもがいないのか、などについて解き明かしている。通い婚は女性に財産がないと成立しない。昔は経済的理由で結婚できない人がたくさんいた・・・などなど、昔話を語って聴かせている立場の者として、枕元に置いてときどき開いて読みたい本である。

Cさん
(4)『あたらしい憲法草案のはなし』自爆連著(太郎次郎エディタス)
 2012年に自民党が公表した憲法草案について、昭和22年に文部省が出版した『あたらしい憲法のはなし』という中学生向け社会科教科書の形式・文体をなぞって解説した本。著者は「自民党の憲法改正草案を爆発的に広める有志連合」となっている。自民党がやろうとしていることがよくわかる。パロディとしても秀逸。


ブックトーク10月開催のご報告




Dさん
(5)『小説 君の名は』新海誠著(角川文庫)
 大ヒットしている映画を映画監督自身が小説化したもの。映画は俯瞰的だが、小説の方は主人公2人の視点から描かれている。1行目が男の子の視点、次の2行目が女の子の視点というふうに描かれている。映画を見てから読むと情景が目に浮かんで分かりやすい。
(6)『環八 イレギュラーズ』佐伯瑠伽著(中央公論社)
 宇宙からきた情報生命体の脱獄囚とそれを追う高校生たちのドラマ。情報生命体である脱獄囚と刑事に乗り移られるとその人間の人格は上書きされてしまうが、自閉症者だけは上書きされず他人に人格を転移できる。主人公の女性は自閉症者に転移され、その人格と同居する羽目に。・・・人にとって幸せとは何なのかを考えさせられる小説。

Eさん
(7)『ロスジェネはこう生きてきた』雨宮処凛著(平凡社新書)
 団塊ジュニア世代である著書の人生、つまりリストカットやオーバードーズを繰り返し、母親に言葉の暴力をふるってきた中高生時代から、右翼団体に加入して活動し、その後右翼から脱退してホームレス支援などに携わるようになる歩みに関心があってこの本を読んだ。すさんだ生活を脱出できたのは、右翼団体の勉強会でディベートをやるために読んだ日本国憲法の前文に触れたからだという。著者は、内なるものを外に訴えることによって生き延びられたと書いている。感動した。



ブックトーク10月開催のご報告




Fさん
 今日は、実話を絵本にした本を3冊紹介したい。
(8)『綱渡りの男』モーディカイ・ガースティン著・川本三郎訳(小峰書店)
 1970年代に建設中のニューヨークの貿易センタービルの2棟の間を綱渡りした人物の話を描いた絵本。渡る場面の絵が、横長に描かれたページと縦長に描かれたページがあって目を見張る。いまはもうこのビルはないけれど、こんな記憶は残っているという本。
(9)『100ぴきのいぬ 100のなまえ』チンルン・リー著・きたやまようこ訳(フレーベル館)
 100匹の犬を飼うのが夢だった人の書いた本。ただただ100匹の犬の名前を紹介していく。読み聞かせで使うときも、全部の名を読みあげていく。小学校の読み聞かせは15分だが、その時間内に収まるように読んでいる。
(10)『メアリー・スミス』アンドレア・ユーレン著・千葉茂樹訳(米村教育図書)
 実在の人物。本には1927年の本人の写真が掲載されている。当時、「ノッカーアップ」という職業があった。これは朝早く起きなければならない人(パン屋や車掌など)の家の窓を長い棒でたたいて目を覚まさせる仕事。このメアリー・スミスは、ストローに豆を入れて吹き矢みたいに吹いて豆を窓に当てて人を起こして歩いたという話。

Gさん
(11)『家康に天下を獲らせた男 最上義光』松尾剛次著(柏書房)
 著者は山形大学の歴史の教授。仏教史が専門だが、最上義光についても色々研究しておられる。題名は編集者に言われてこのようにしたというが、内容は物語ではなく、歴史の研究書である。中世の大名たちは残虐が当たり前だった。英雄視される謙信も兼続も、だ。義光はことさら残虐な武将として語られてきたが、一族を守ることがすべてに優先するという当時の視点で見ると本当の姿が見えてくる。
(12)『北天に楽土あり 最上義光伝』天野純希著(徳間書店)
 こちらは小説。駒姫を殺すシーンが冒頭にきている。白鳥十郎の謀殺に関してもかなり残虐な人物として描かれている。小説としてみれば面白いので、史実と誤解しない方はどうぞ。

Hさん
(13)『魂の退社』稲垣えみ子著(東洋経済新報社)
 著者は朝日新聞の論説委員だったが、50歳できっぱり退社した。そこに至るまでの経過と心の動きを描いたエッセイ。同期が偉くなっていくのに不満を感じ、大阪本社から香川県に異動させられたのを機に会社に依存している自分を省み始めるあたりは誰しもに当てはまる心の経路かと思われるが、そこから価値観を少しずつ転換して、お金に縛られない質素な生活を作っていくところが非凡である。お金や地位が欲しいと思わない生活と体質を作り上げてから退社したところが、「魂の」退社という言葉が言い得て妙なところ。




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Posted by 図書館ボランティア「小荷駄のみどりから…」 at 10:03│Comments(0)イベント開催報告
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