2018年09月18日
2018年2-3月の市民講座のご報告!
図書館と図書館ボランティア「小荷駄のみどりから…」の共催による恒例の市民講座のレポートです。
2018年2月24日(土)には、認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局の黄木優寿氏に「ドキュメンタリー映画祭と映画あそびの現場から」と題してお話しいただきました。
黄木さんは映像作家として活動する傍ら、各地で子どもたちを対象とした映像作りのワークショップを開催しておられます。
今回の講演では、その様子を映像で紹介いただくとともに、子どもたちが作った映像作品を披露していただきました。
コマ撮りの画像をパラパラ漫画の技法で映画化した作品には、映画の“魔法”を手にした子どもたちが生き生きと創造する姿が映し出されていました。
3月17日(日)には、一昨年『キャバレーに花束を~小姓町 ソシュウの物語~』を出版された渡辺大輔氏に、「キャバレーはよみがえる」と題した講演をしていただきました。
37歳の渡辺さんは、山形南高校から大阪芸術大学を経て小姓町に居酒屋「記念日」を開店するまでのご自身の来歴を、やや斜に構えて語りながら、新しいキャバレーを創ることで「夜の楽しさで東京に勝ちたい。勝負をしたい。」、「ソシュウ」の時代を“あの頃はよかった”と懐かしむのではなく、「我々が生きているこの時代を自慢できる人になりたい。そう期待して、今の人を焚き付けるためにこの本を書いた。」と熱く語ってくださいました。
2017年12月11日
薮内正幸原画展・藪内竜太氏講演会レポート
12月9日に始まった薮内正幸原画展。
オープニングに際して薮内正幸美術館館長の藪内竜太さんによる「好きこそものの上手なれ~動物画家薮内正幸」と題した講演会が開催されました。
お父さんである薮内正幸さんの子供時代から紐解き、どのように動物に魅せられ、またどのようにあのような細密で正確な動物の絵を描く力を独学で体得されたのかを、ユーモアを交えながらお話いただきました。
戦中に大阪で生まれ、モノの乏しい時代に育った薮内少年。
小さい頃から生き物が大好きで、大阪の天王寺動物園に毎日通って、日がな一日動物を観察していたそうです。そうして家に戻ると、動物たちを思い出し、それを紙に描き起こしていたようです。その場で写生するのではなく、感動とともに自分の頭の中に記憶された動物の姿を思い起こして、家でスケッチしたというわけです。ライオンを観た日は、家でライオンのように四つ足で歩いていたとか。動物に自分がなりきるほど観ることで、その動物を知ろうとしたその集中力のすごさに、まず驚かされました。
お話の中で、特に印象的だったのが、子供の頃一番はじめに買ってもらった本にまつわるエピソード。
『動物と私たち』という生き物に関する本で、小学3年生で買ってもらい、生涯の愛読書となったそうです。カラーの口絵がついた、当時としては本当に宝物のような本だったそうです。
薮内少年はこの本の著者である動物学者高島春雄先生に、動物についての疑問を手紙でいろいろと質問していたそうです。まじめな高島先生との文通を通して、ますます動物についてのめり込んでいきます。その事が、さらに哺乳類専門家である今泉吉典先生との出会いにつながり、それが高校卒業の頃には、のちの職場となる福音館編集部松居直さんとの出会いにもつながっていくのです。話を伺っていて、これほど本が人の人生に影響を与える事は滅多にないのではと思われました。
就職してからは、「動物の骨格標本を1万~2万枚描きなさい」と言われ、起きている時間のすべてを描くことに捧げた時期もあったそうです。さぞかし大変だったのではと思うところですが、後に息子である竜太さんにその頃の事を「あの頃は楽しかった」と語ったそうです。本当に打ち込んでおられたのだという事が伝わってきました。
あっという間の1時間半で、お話を聞いてすっかり薮内少年のファンになってしまいました。
講演会を聞いた事で、新たな視点で原画や絵本に向かえる気がしました。
原画展会場には小学時代や高校時代のスケッチも展示されています。「好きこそものの上手なれ」とはよく聞く言葉ではありますが、本当にその言葉にふさわしい人生を歩まれた方だったのだと思いました。
原画展は12/17までです。ぜひご覧ください。
2016年10月03日
ブックトーク10月開催のご報告
こにだブックトークを、去る2016年10月1日に開催しました。
初めて参加の2名を含む9名が参加し、あれやこれやとさまざまなお話が交わされました。
Aさん
(1)『ひみつの王国 評伝 石井桃子』尾崎真理子著(新潮社)
石井桃子についていろいろな人にインタビューした内容を繋ぎ合わせて、分厚い本になっている。児童書の翻訳などで活躍した石井さんの一生はどんな人生だったんだろう?と思って惹き込まれた。最後まで訳を修正しなくちゃと言いながら、101歳でスプーンを持ったまま亡くなったという。
(2)『石井桃子のことば』中川季枝子・松井直・松岡享子・若菜晃子ほか著(新潮社)
上記の本と相俟って、石井桃子の翻訳家としての凄さを感じた。
Bさん
(3)『昔話はなぜお爺さんとお婆さんが主役なのか』大塚ひかり著(草思社)
たくさんの資料や史料を用いて、老人はなぜ働き者なのか、なぜ昔話のお爺さんとお婆さんには子どもがいないのか、などについて解き明かしている。通い婚は女性に財産がないと成立しない。昔は経済的理由で結婚できない人がたくさんいた・・・などなど、昔話を語って聴かせている立場の者として、枕元に置いてときどき開いて読みたい本である。
Cさん
(4)『あたらしい憲法草案のはなし』自爆連著(太郎次郎エディタス)
2012年に自民党が公表した憲法草案について、昭和22年に文部省が出版した『あたらしい憲法のはなし』という中学生向け社会科教科書の形式・文体をなぞって解説した本。著者は「自民党の憲法改正草案を爆発的に広める有志連合」となっている。自民党がやろうとしていることがよくわかる。パロディとしても秀逸。
Dさん
(5)『小説 君の名は』新海誠著(角川文庫)
大ヒットしている映画を映画監督自身が小説化したもの。映画は俯瞰的だが、小説の方は主人公2人の視点から描かれている。1行目が男の子の視点、次の2行目が女の子の視点というふうに描かれている。映画を見てから読むと情景が目に浮かんで分かりやすい。
(6)『環八 イレギュラーズ』佐伯瑠伽著(中央公論社)
宇宙からきた情報生命体の脱獄囚とそれを追う高校生たちのドラマ。情報生命体である脱獄囚と刑事に乗り移られるとその人間の人格は上書きされてしまうが、自閉症者だけは上書きされず他人に人格を転移できる。主人公の女性は自閉症者に転移され、その人格と同居する羽目に。・・・人にとって幸せとは何なのかを考えさせられる小説。
Eさん
(7)『ロスジェネはこう生きてきた』雨宮処凛著(平凡社新書)
団塊ジュニア世代である著書の人生、つまりリストカットやオーバードーズを繰り返し、母親に言葉の暴力をふるってきた中高生時代から、右翼団体に加入して活動し、その後右翼から脱退してホームレス支援などに携わるようになる歩みに関心があってこの本を読んだ。すさんだ生活を脱出できたのは、右翼団体の勉強会でディベートをやるために読んだ日本国憲法の前文に触れたからだという。著者は、内なるものを外に訴えることによって生き延びられたと書いている。感動した。
Fさん
今日は、実話を絵本にした本を3冊紹介したい。
(8)『綱渡りの男』モーディカイ・ガースティン著・川本三郎訳(小峰書店)
1970年代に建設中のニューヨークの貿易センタービルの2棟の間を綱渡りした人物の話を描いた絵本。渡る場面の絵が、横長に描かれたページと縦長に描かれたページがあって目を見張る。いまはもうこのビルはないけれど、こんな記憶は残っているという本。
(9)『100ぴきのいぬ 100のなまえ』チンルン・リー著・きたやまようこ訳(フレーベル館)
100匹の犬を飼うのが夢だった人の書いた本。ただただ100匹の犬の名前を紹介していく。読み聞かせで使うときも、全部の名を読みあげていく。小学校の読み聞かせは15分だが、その時間内に収まるように読んでいる。
(10)『メアリー・スミス』アンドレア・ユーレン著・千葉茂樹訳(米村教育図書)
実在の人物。本には1927年の本人の写真が掲載されている。当時、「ノッカーアップ」という職業があった。これは朝早く起きなければならない人(パン屋や車掌など)の家の窓を長い棒でたたいて目を覚まさせる仕事。このメアリー・スミスは、ストローに豆を入れて吹き矢みたいに吹いて豆を窓に当てて人を起こして歩いたという話。
Gさん
(11)『家康に天下を獲らせた男 最上義光』松尾剛次著(柏書房)
著者は山形大学の歴史の教授。仏教史が専門だが、最上義光についても色々研究しておられる。題名は編集者に言われてこのようにしたというが、内容は物語ではなく、歴史の研究書である。中世の大名たちは残虐が当たり前だった。英雄視される謙信も兼続も、だ。義光はことさら残虐な武将として語られてきたが、一族を守ることがすべてに優先するという当時の視点で見ると本当の姿が見えてくる。
(12)『北天に楽土あり 最上義光伝』天野純希著(徳間書店)
こちらは小説。駒姫を殺すシーンが冒頭にきている。白鳥十郎の謀殺に関してもかなり残虐な人物として描かれている。小説としてみれば面白いので、史実と誤解しない方はどうぞ。
Hさん
(13)『魂の退社』稲垣えみ子著(東洋経済新報社)
著者は朝日新聞の論説委員だったが、50歳できっぱり退社した。そこに至るまでの経過と心の動きを描いたエッセイ。同期が偉くなっていくのに不満を感じ、大阪本社から香川県に異動させられたのを機に会社に依存している自分を省み始めるあたりは誰しもに当てはまる心の経路かと思われるが、そこから価値観を少しずつ転換して、お金に縛られない質素な生活を作っていくところが非凡である。お金や地位が欲しいと思わない生活と体質を作り上げてから退社したところが、「魂の」退社という言葉が言い得て妙なところ。
初めて参加の2名を含む9名が参加し、あれやこれやとさまざまなお話が交わされました。
Aさん
(1)『ひみつの王国 評伝 石井桃子』尾崎真理子著(新潮社)
石井桃子についていろいろな人にインタビューした内容を繋ぎ合わせて、分厚い本になっている。児童書の翻訳などで活躍した石井さんの一生はどんな人生だったんだろう?と思って惹き込まれた。最後まで訳を修正しなくちゃと言いながら、101歳でスプーンを持ったまま亡くなったという。
(2)『石井桃子のことば』中川季枝子・松井直・松岡享子・若菜晃子ほか著(新潮社)
上記の本と相俟って、石井桃子の翻訳家としての凄さを感じた。
Bさん
(3)『昔話はなぜお爺さんとお婆さんが主役なのか』大塚ひかり著(草思社)
たくさんの資料や史料を用いて、老人はなぜ働き者なのか、なぜ昔話のお爺さんとお婆さんには子どもがいないのか、などについて解き明かしている。通い婚は女性に財産がないと成立しない。昔は経済的理由で結婚できない人がたくさんいた・・・などなど、昔話を語って聴かせている立場の者として、枕元に置いてときどき開いて読みたい本である。
Cさん
(4)『あたらしい憲法草案のはなし』自爆連著(太郎次郎エディタス)
2012年に自民党が公表した憲法草案について、昭和22年に文部省が出版した『あたらしい憲法のはなし』という中学生向け社会科教科書の形式・文体をなぞって解説した本。著者は「自民党の憲法改正草案を爆発的に広める有志連合」となっている。自民党がやろうとしていることがよくわかる。パロディとしても秀逸。
Dさん
(5)『小説 君の名は』新海誠著(角川文庫)
大ヒットしている映画を映画監督自身が小説化したもの。映画は俯瞰的だが、小説の方は主人公2人の視点から描かれている。1行目が男の子の視点、次の2行目が女の子の視点というふうに描かれている。映画を見てから読むと情景が目に浮かんで分かりやすい。
(6)『環八 イレギュラーズ』佐伯瑠伽著(中央公論社)
宇宙からきた情報生命体の脱獄囚とそれを追う高校生たちのドラマ。情報生命体である脱獄囚と刑事に乗り移られるとその人間の人格は上書きされてしまうが、自閉症者だけは上書きされず他人に人格を転移できる。主人公の女性は自閉症者に転移され、その人格と同居する羽目に。・・・人にとって幸せとは何なのかを考えさせられる小説。
Eさん
(7)『ロスジェネはこう生きてきた』雨宮処凛著(平凡社新書)
団塊ジュニア世代である著書の人生、つまりリストカットやオーバードーズを繰り返し、母親に言葉の暴力をふるってきた中高生時代から、右翼団体に加入して活動し、その後右翼から脱退してホームレス支援などに携わるようになる歩みに関心があってこの本を読んだ。すさんだ生活を脱出できたのは、右翼団体の勉強会でディベートをやるために読んだ日本国憲法の前文に触れたからだという。著者は、内なるものを外に訴えることによって生き延びられたと書いている。感動した。
Fさん
今日は、実話を絵本にした本を3冊紹介したい。
(8)『綱渡りの男』モーディカイ・ガースティン著・川本三郎訳(小峰書店)
1970年代に建設中のニューヨークの貿易センタービルの2棟の間を綱渡りした人物の話を描いた絵本。渡る場面の絵が、横長に描かれたページと縦長に描かれたページがあって目を見張る。いまはもうこのビルはないけれど、こんな記憶は残っているという本。
(9)『100ぴきのいぬ 100のなまえ』チンルン・リー著・きたやまようこ訳(フレーベル館)
100匹の犬を飼うのが夢だった人の書いた本。ただただ100匹の犬の名前を紹介していく。読み聞かせで使うときも、全部の名を読みあげていく。小学校の読み聞かせは15分だが、その時間内に収まるように読んでいる。
(10)『メアリー・スミス』アンドレア・ユーレン著・千葉茂樹訳(米村教育図書)
実在の人物。本には1927年の本人の写真が掲載されている。当時、「ノッカーアップ」という職業があった。これは朝早く起きなければならない人(パン屋や車掌など)の家の窓を長い棒でたたいて目を覚まさせる仕事。このメアリー・スミスは、ストローに豆を入れて吹き矢みたいに吹いて豆を窓に当てて人を起こして歩いたという話。
Gさん
(11)『家康に天下を獲らせた男 最上義光』松尾剛次著(柏書房)
著者は山形大学の歴史の教授。仏教史が専門だが、最上義光についても色々研究しておられる。題名は編集者に言われてこのようにしたというが、内容は物語ではなく、歴史の研究書である。中世の大名たちは残虐が当たり前だった。英雄視される謙信も兼続も、だ。義光はことさら残虐な武将として語られてきたが、一族を守ることがすべてに優先するという当時の視点で見ると本当の姿が見えてくる。
(12)『北天に楽土あり 最上義光伝』天野純希著(徳間書店)
こちらは小説。駒姫を殺すシーンが冒頭にきている。白鳥十郎の謀殺に関してもかなり残虐な人物として描かれている。小説としてみれば面白いので、史実と誤解しない方はどうぞ。
Hさん
(13)『魂の退社』稲垣えみ子著(東洋経済新報社)
著者は朝日新聞の論説委員だったが、50歳できっぱり退社した。そこに至るまでの経過と心の動きを描いたエッセイ。同期が偉くなっていくのに不満を感じ、大阪本社から香川県に異動させられたのを機に会社に依存している自分を省み始めるあたりは誰しもに当てはまる心の経路かと思われるが、そこから価値観を少しずつ転換して、お金に縛られない質素な生活を作っていくところが非凡である。お金や地位が欲しいと思わない生活と体質を作り上げてから退社したところが、「魂の」退社という言葉が言い得て妙なところ。
2016年06月23日
ひさびさの開催! こにだブックトーク2016.6月
去る6月5日(日)、約半年ぶりに『こにだブックトーク』を開催しました。
梅雨前のすがすがしい日曜日の午前中、好きな本の話のあれやこれやで和やかな時間を過ごしました。聞くだけの方や初参加の方も含めて、11名のみなさんにご参加いただきました。
今回紹介された本は以下になります。
Tさん
■「異貌の維新〜《奥羽越》の矜持と無念〜」岩井哲/著(紅花書房)
作者は上山市で書肆犀という出版社を営んでいる方、発行は山形市の古書店、という山形発の本です。
テーマは、幕末から明治にかけての東北や奥羽列藩同盟。討たれた方から歴史を問い直しています。当時、東北の各藩では戦争回避を目指した動きもあり、いろんな可能性があったことを示しています。
視点の新しさが魅力の一冊です。
■「パラレルキャリア」ナカムラクニオ/著(晶文社)
現代は“小商い”をかけもちする時代だそうです。
この本では“ライスワーク/ごはんを食べるための仕事”“ライフワーク/一生続ける仕事”“ライクワーク/好きな仕事”の3つを持つ人生について書かれています。
9月の山形ビエンナーレ期間に作者のナカムラクニオさんが催すイベントが遊学館であります。
NRさん
■「管見妄語~グローバル化の憂鬱/とんでもない奴」「この国のけじめ」藤原正彦/著
週刊新潮の論説コラムをまとめたものが「管見妄語」シリーズです。
「管見」とは「筒から見た狭い世間の事」、「妄語」とは「うそをつく事」で、作者流の謙遜と思われます。社会の事をいろいろと書いていますが、文化的ユーモアがあって読みやすいです。
INさん
■「通販生活2016年夏号」
「通販生活」は通販雑誌です。良品が紹介されており、普段から利用していますが、自由な意見記事も掲載されていて、読みごたえのある雑誌でもあります。
最新号2016年夏号では、憲法が無視されている状況を見過ごせないとして「自民党支持のみなさんへのメッセージ」という記事が載っており、興味深く読みました。これを読んだ事で、次に紹介する「『憲法改正』の真実」という本に辿りつきました。
■「『憲法改正』の真実」樋口陽一・小林節/著(集英社新書)
樋口陽一は井上ひさしの高校の同級生、小林節は自民党のブレーンだった人物。このふたりが「憲法改正」について論じた本です。
現在の日本は「立憲主義が都合よく解釈され、憲法が否定された状況にある」とふたりは警鐘を鳴らしています。この本によると、そもそも「憲法」というものは、「国民が守るもの」というよりは、「国民が権力者に守らせるもの、権力者を縛るものだ」との事。国民はその事を忘れおり、それを今一度知らしめる必要があると主張されています。
憲法改正について考え直す時にとても参考になる本として、お薦めします。
Oさん
■「にじをみつけたあひるのダック」フランセス・バリー/著、おびかゆうこ/訳(主婦の友社)
■「きょうのおやつは」わたなべちなつ/著(福音館)
■「ギャロップ!!」ルーファス・バトラー・セダー/著(大日本絵画)
■「うごく浮世絵!?」アーサー・ビナード/原著 よぐちたかお/著(福音館)
■「たんけんライトシリーズ」クロード デラフォッス/著(岳陽舎)
しかけ絵本が大好きでいろいろ集めています。
病院の小児病棟へ読み聞かせに行く事がありますが、そうした時にしかけ絵本は子供たちにとても喜ばれます。病院生活の中、目で見て楽しめる点が、気晴らしになるようです。
本自体が丸い形をしている「にじをみつけた~」、鏡仕立てになっていて、おやつが宙に浮いているように感じられる「きょうのおやつは」、本当に絵が動いて見える「ギャロップ」など、どの本もしかけに手が込んでいて、大人も思わず夢中になります。
NYさん
■「生きるために、一句」細谷亮太/著(講談社)
細谷亮太先生は東京聖路加病院の小児科医で河北町のご出身。以前ボランティアと市立図書館が共催して講演会にもいらしていただいた、ゆかりのある方です。
いろんな人の句がひとつずつ紹介されていて、それに対して細谷先生が自分の感想を書いています。小さな見出しがついており、読みやすくなっています。
一日一句読むとほっとします。この本がきっかけとなり、今では自分も一日一句を作るようになりました。
■「蓮-ハスをたのしむ」北村文雄/監修 (ネット武蔵野)
子供の本研究所の講座に参加した時に知り合った方から紹介された本です。府中在住の方で地元の本として教えていただきました。
この本では、蓮について、何から何まで書かれています。植物学的な事から、蓮を題材にした俳句や浮世絵、果ては料理まで、幅広いカテゴリーで蓮に迫った本です。ちなみに、蓮は4日間しか咲かないようですよ。
山形でも、こんな風に「紅花」について何からか何まで書かれた本を作ったらよいのにと思いました。
“10~100歳に贈る感動と発見の「えっ! 本」”シリーズです。
Aさん
■「池澤夏樹個人編集 日本文学全集 今昔物語・日本霊異記他」(河出書房新社)
現代訳で書かれており、古典ですが肩肘はらずに読めます。古典は読みにくいと思っている方にぜひ試していただきたいです。
古典を現代の人向けにアレンジした本はこのほかにもいろいろあります。特に「マンガ日本の古典/今昔物語」(中公文庫)は水木しげるが描いており、おもしろい本です。
■「仏像は語る」西村公朝/著 (新潮文庫)
日本最高の仏師と言われる作者が、仏像についてやさしく解説しています。
■「図書館に通う-当世『公立無料貸本屋』事情」宮田昇/著(みすず書房)
無料貸本屋といった刺激的なタイトルがついています。
作者は仕事を退いた後に、趣味で読書を楽しもうと公立図書館へ通うようになり、そこで感じたいろいろをエッセイとして書いています。ベストセラーの複本問題等など。
Yさん
■「なつかしい時間」長田弘/著(岩波新書)
作者は詩人ですが、1985年から17年間、NHKの「視点・論点」という論説番組をもっていました。そこで話していたものをまとめたのがこの本です。
じっくりと思索や考察をおこなう方です。何気なく過ごす平凡な時間が、けしてありふれたものでないという気持や感じ方を持っていて、それを原点に日々の大切さを書いています。
震災を経て、特にそう自分でも感じられ、共感しました。
■「遠き山に日は落ちて」佐伯一麦/著(集英社)
宮城出身の作家が書いた小説で、舞台は蔵王山麓。草木染め作家と小説家の物語です。
私も仙台出身なので、書かれた風景と自分の育った風景とリンクして、親近感を感じました。すぐそばにいるような感じを受けました。
IGさん
■「忘れられた巨人」カズオ・イシグロ/著 土屋政雄/訳 (早川書房)
“記憶”をテーマにしたファンタジーです。
舞台は中世イングランド。周囲に疎んじられながら暮す老夫婦が主人公で、彼らが遠く離れた息子に会いたいと旅に出ます。ただし、その息子が本当に存在しているのか、果たしてどこにいるのかの“記憶”が彼らにははっきりとはありません。この老夫婦の旅に、竜退治を目指す戦士や老騎士が加わることで、いろんな謎がさらに散りばめられます。
いくつかの謎は解決しないまま最後まで積み残され、スッキリはしませんが、面白く読めました。かえって余韻の残る読後感で、読んだ翌日にいろんなシーンを反芻しました。
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沢山の本をご紹介いただき、またみなさんとおしゃべりできて、楽しかったです。
ご参加のみなさま、本当にどうもありがとうございました。
次回の開催は未定ですが、決まりましたらブログでお知らせいたします。
初めての方、聞くだけの方も大歓迎です。ぜひ遊びにいらしてください!
2016年03月17日
市民講座「山形で児童書の翻訳を仕事にするということ」開催しました
山形市立図書館で2016年3月6日(日)に、児童書翻訳者の横山和江さんをお招きして、
「山形で児童書の翻訳を仕事にするということ」と題した市民講座を行いました。
子供の時に読んだ「赤毛のアン」で、本好きになったとおっしゃる横山さん。
埼玉出身で、結婚を機に山形へいらして20年。
うかがってみると、山あり谷ありで、まるで朝の連続ドラマのような翻訳人生。
「その間、あきらめなかったからこそ、児童書翻訳者としての現在がある」というお話でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
横山さんは短大英文科を卒業後、食品メーカーに就職。
総務でお仕事されていたそうで、児童書翻訳と随分かけ離れたスタートをきったとの事。
その後、ソフトウェア会社に転職し、秘書としての仕事をこなしながら
TOEICを受験するなど英語の勉強を続けられたようです。
その勉強の成果があって、秘書から同じ会社の翻訳部門へ異動し、
アメリカのデンバーで翻訳を5カ月経験。
結婚を機に山形へ来てから、通信教育で出版翻訳の勉強をスタート。
子育てをしながら勉強をはじめ、最初の一冊が出るまでに10年かかったそうです。
最初の本が出てから現在までの10年で15冊の本を翻訳されたのでした。
その間に多くのハードルがあったそうです。
勉強会で東京の先生から「地方では繋がりがつくりにくく、児童書の翻訳は無理だろう」と言われたり、
出版社から「ずいぶん海外生活が短いですね」と指摘されたり。。。
最初の本が出てからも、順風とはいかず出版社へ持ち込んだ企画が2年も塩漬けになった事など。
それでもあきらめずに、その時その時で突破口を探し、次に続けていったご様子。
パソコンやインターネットといったハード面の進歩と変化も、地方在住の自分の後押しになったとのこと。
地方にいても情報がキャッチできる現代ならではの、
最近の原作探しのエピソードも大変興味深かったです。
現在は、小学生向けの知識絵本と小学校中学年向け読み物を翻訳しているそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
横山さんの翻訳した本が図書館にも多数ありますので、ぜひお読みください。
【訳書リスト抜粋】
◎読み物
■「14番目の金魚」(ジェニファー・L・ホルム作/講談社/2015.11)
ニューヨークタイムズベストセラー作品
■「わたしの心のなか」(シャロン・M・ドレイパー作/鈴木出版/2014.9)
IBBY(国際児童図書評議会)障害児図書資料センター2011年推薦図書
■「グリーンフィンガー 約束の庭」(ポール・メイ作/シャーン・ベイリー絵/さ・え・ら書房/2009.6)
2002年度カーネギー賞ロングリスト作品
◎絵本
■「サラとダックン」シリーズ(サラ・ゴメス・ハリス原案/金の星社)
アニメがNHKのEテレで放送
■「クマさんのおことわり」シリーズ(ポニー・ベッカー文/ケイティ・マクドナルド・デントン絵/岩崎書店)
2009年ケイト・グリーナウェイ賞ロングリスト
「山形で児童書の翻訳を仕事にするということ」と題した市民講座を行いました。
子供の時に読んだ「赤毛のアン」で、本好きになったとおっしゃる横山さん。
埼玉出身で、結婚を機に山形へいらして20年。
うかがってみると、山あり谷ありで、まるで朝の連続ドラマのような翻訳人生。
「その間、あきらめなかったからこそ、児童書翻訳者としての現在がある」というお話でした。
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横山さんは短大英文科を卒業後、食品メーカーに就職。
総務でお仕事されていたそうで、児童書翻訳と随分かけ離れたスタートをきったとの事。
その後、ソフトウェア会社に転職し、秘書としての仕事をこなしながら
TOEICを受験するなど英語の勉強を続けられたようです。
その勉強の成果があって、秘書から同じ会社の翻訳部門へ異動し、
アメリカのデンバーで翻訳を5カ月経験。
結婚を機に山形へ来てから、通信教育で出版翻訳の勉強をスタート。
子育てをしながら勉強をはじめ、最初の一冊が出るまでに10年かかったそうです。
最初の本が出てから現在までの10年で15冊の本を翻訳されたのでした。
その間に多くのハードルがあったそうです。
勉強会で東京の先生から「地方では繋がりがつくりにくく、児童書の翻訳は無理だろう」と言われたり、
出版社から「ずいぶん海外生活が短いですね」と指摘されたり。。。
最初の本が出てからも、順風とはいかず出版社へ持ち込んだ企画が2年も塩漬けになった事など。
それでもあきらめずに、その時その時で突破口を探し、次に続けていったご様子。
パソコンやインターネットといったハード面の進歩と変化も、地方在住の自分の後押しになったとのこと。
地方にいても情報がキャッチできる現代ならではの、
最近の原作探しのエピソードも大変興味深かったです。
現在は、小学生向けの知識絵本と小学校中学年向け読み物を翻訳しているそうです。
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横山さんの翻訳した本が図書館にも多数ありますので、ぜひお読みください。
【訳書リスト抜粋】
◎読み物
■「14番目の金魚」(ジェニファー・L・ホルム作/講談社/2015.11)
ニューヨークタイムズベストセラー作品
■「わたしの心のなか」(シャロン・M・ドレイパー作/鈴木出版/2014.9)
IBBY(国際児童図書評議会)障害児図書資料センター2011年推薦図書
■「グリーンフィンガー 約束の庭」(ポール・メイ作/シャーン・ベイリー絵/さ・え・ら書房/2009.6)
2002年度カーネギー賞ロングリスト作品
◎絵本
■「サラとダックン」シリーズ(サラ・ゴメス・ハリス原案/金の星社)
アニメがNHKのEテレで放送
■「クマさんのおことわり」シリーズ(ポニー・ベッカー文/ケイティ・マクドナルド・デントン絵/岩崎書店)
2009年ケイト・グリーナウェイ賞ロングリスト
2016年01月04日
こにだブックトーク2015年11月レポート
大変遅くなりましたが、11月29日(日)の『こにだブックトーク』で話題になった本をご紹介します。今回は、聞くだけの方も含めて、7名のみなさんにご参加いただきました。
Nさん
■出版社各社のPR誌-「図書(岩波書店)」「ちくま(筑摩書房)」「波(新潮社)」「青春と読書(集英社)」「本の窓(小学館)」
情報が詰まった冊子で、各社のものを読むだけで1カ月かかるくらいです。それぞれその会社らしいタイトルがついています。このPR誌に出る事が“作家のステイタス”とのことです。
ワタシはここから一番よい本を選び、図書館にリクエストしています。
Oさん
■「ひと裁ち折り紙」山本厚生/著(萌文社)
折り紙の本ですが、ハサミで「ひと裁ち」だけするというのがミソです。元々、折り紙でハサミやノリを使うのは邪道だと思っていたのですが、一回ハサミを入れるだけなのでいいかなと考えました。ひと裁ちで劇的な変化が生じます。
子供たちの集まりで、「何ができるかな~?」とクイズ形式で実演するととても盛り上がります。
今日作ったのは・・・こちら、「さくらんぼ」です!
この作家さんは建築家だそうです。構造を考える方ならではのアイデアが詰まっています。
Aさん
■「土佐堀川-広岡浅子の生涯」古川智映子/著(潮文庫)
朝の連続ドラマ小説の主人公に関する本です。日本の女性史と江戸から明治にかけての歴史の転換期の両方がわかりやすく書かれています。
広岡浅子は、今でも残るいくつかの大企業を作り上げました。一方で、女性の解放にも力を尽くしています。病気や事件等、命の危機にも見舞われますが、乗り越えて長生きしたようです。
■「芸人と俳人」又吉直樹、堀本裕樹/著(集英社)
自由句を詠む又吉さんと正統な俳句を詠む堀本さんの対談集です。俳句の入門書としてもよいと思います。
■「イスラムの読み方」山本七平、加瀬英明/著(祥伝社)
イスラムの事がわかりやすく書かれています。この本では、「イスラムは宗教というより、憲法に近いもので、神の教えのもとの契約書のようなもの」だと説かれており、あらためて日本の感覚と大きく異なる事を思い知らされました。
昭和55年に出版された本ですが、平成17年に再度息を吹き返してきた本です。
Tさん
■「地方都市を考える-「消費社会」の先端から-」/貞包英之著 (花伝社)
山大准教授の方の社会学の本です。地方都市Y市=山形市の統計をもとにしながら、普遍的に地方都市が置かれている現状について書いています。
「地方こそ消費社会の先端」という事を、「空き家」「郊外型モール」「街づくりと観光」「高層マンション」などをテーマにしながら、語っています。現状分析に徹しており、答えが書かれていないところも、かえって抵抗なくて読めよいと思いました。
■「ナプキン・ノート」ガース・キャラハン/著(辰巳出版)
ガースは45歳のアメリカ人。彼が、一人娘のために作るお弁当をつつむナプキンに書いた一言を集めた本です。最初が泣けます。というのも、主人公は進行性のガンにかかっているのです。副題は「父から娘へ、826枚のお弁当メッセージ」。
長生きできないと知りながら、今を生きており、Facebookで動画も公開しています。
IGさん
■「門」夏目漱石/著(文春文庫)
11月に三川町で“奥泉光×いとうせいこうの文藝漫談”というイベントがあり、その課題本となったのがこの「門」です。“文藝漫談”とは、先のおふたりが、手が伸びにくい古典や隠れた名作を取り上げ、その隠れた魅力や新しい読み筋を、面白おかしく読み説くというものです。過去に東京で見たことがあり、すっかりふたりの語り口に魅了されました。
今回は奥泉先生の故郷三川町での開催。「これはいかねば」という事で、恥ずかしながら初めて夏目漱石を読みました。こんなふうに古典を手にとるきっかけが多くあるといいなと思いました。そして、「門」は、なかなかに渋い本でした。
INさん
■藤沢周平の小説「秘太刀馬の骨/文春文庫」「花のあと/文春文庫」「隠し剣孤影抄/文春文庫」
自分の父を看病していた頃、藤沢周平を読み始めました。今住む朝日町の図書館に全集があるので、1巻から読みはじめたのですが、どれひとつとっても駄作がないのです。
今日は女性が活躍している作品を取り上げました。
「秘太刀馬の骨」は馬の骨をも折る程の力を持った刀を誰が使ったのか、推理小説のように追って行く話。主人公の妻は心の病にかかっており、「子どもが亡くなったのは夫のせいだ」と思っています。この刀の履歴を追っていくうちに、妻の気持ちに変わっていき、その病が癒えていきます。実は妻は刀の名手だったのです。
「花のあと」の中では『花のあと』『雪間草』が、「隠し剣孤影抄」では『女人剣さざ波』が特にお薦めです。いずれも女性の剣の名士が登場します。
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今回の幅広いジャンルの本が集まり、楽しかったです。
ご参加のみなさま、本当にどうもありがとうございました。
久々にお会いできたAさん、いらしてくださってうれしかったです。本というつながりがあると、こんな風に懐かしい方にも会う事ができるのですね。ブックトークを開催してよかったです!
次回の開催は未定ですが、決まりましたらブログでお知らせいたします。
2015年09月28日
夏の終わりにこにだブックトーク開催しました
8月30日(日)に、お気に入りの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク』を行いました。聞くだけの方も含めて、8名のみなさんにご参加いただきました。今回紹介された本はこちらです。
Oさん
■「ワンダフル・ライフ -バージェス頁岩と生物進化の物語」スティーブン・ジュイグールド/著 (早川書房)
カナダで100年前に発見された化石の話です。
この時、不思議な形をした生物の化石が沢山発見されました。この本の中でも、再現イラストでその姿を見ることができます。表紙のイラストもそのひとつで、とても印象的です。
進化というと、時間をかけて、枝分かれして発生するもののように思いますが、この化石で登場する生物は全く別のようです。今、生存する生き物のどの種別にも属さない生き物たちが、この時期に一気に地球上に発生したと作者は考えています。
絵を見ているだけでも楽しいのです。この本は1909年に出版されています。
Iさん
■「流」東山彰良/著(講談社)
今年の直木賞作品です。「20年に一度の傑作!」という帯の押しで、思わず買ってしまいました。1945年以降の台湾を舞台としたミステリー仕立ての小説です。
台湾創成期を生きたある伝説の男が亡くなるところから物語がスタート。主人公の青年が、その伝説の男である祖父が生きた中国、台湾の複雑な歴史をたどりながら、犯人を探っていきます。男たちの仁義と愛と裏切りのアツい世界が描かれています。
展開が早く、また意外性もあり、一気に読みました!台湾に詳しくない私もストーリーに夢中になれました。時間を忘れて物語の世界に浸りたい~そんな読書の醍醐味が味わいたい方にお勧めです。
Nさん
■「昭和出版残侠伝」嵐山光三郎/著(筑摩書房)
■「ぼくの交友録的読書術」嵐山光三郎/著(新講社)
■「縁もたけなわ-ぼくが編集者人生で出会った愉快な人たち」松田哲夫/著(小学館)
元編集者の方の本を持ってきました。
嵐山光三郎が好きです。多才でいろんな事をしている人です。国学院大学卒で、深いところを学んだ人という印象なのですが、難しい文章を書かないところが気に入っています。自分と年代が近い人というのも魅力のひとつ。挙げた2冊では、食べ物・旅・作家の事などを書いています。
松田哲夫はちくま書房で編集をしていた人で、ラジオ深夜便でおなじみです。この本では作家の裏話を書いています。南伸坊がイラストを手掛けていて、おもしろくそれぞれの人となりを描いています。特に、哲学者の鶴見俊輔のエピソードがおもしろかったです。
Tさん
■「恋愛依存症」伊東明/著 (実業之日本社)
「苦しい恋からなぜ抜けだせないのか」や「なぜこんな人にひっかかってしまうのか」といった恋愛の謎を解明している本。どうやったら回復できるかも書かれています。作者は心理学者です。
■「ヒトラーの呪縛-日本ナチ・カルチャー研究序説」佐藤卓己/著 (中公文庫)
日本のカルチャーでヒトラーがどう扱われているかを、映画やアニメ、文学、ファッション等、いろんなジャンルにわたって事例を示しながら解説した本です。宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統もそのひとつです。いかにヒトラー・ナチスといったモチーフが入り込んでいるのかを改めて知り、驚きました。
Sさん
■「ドキュメント宇宙飛行士選抜試験」大鐘良一、小原健右/著(光文社新書)
こうのとりをロボットアームでキャッチした油井宇宙飛行士が選抜された時の試験に密着したドキュメントです。「なぜ宇宙を目指すのだろう」と思いながら読みました。
最終選考は10名にしぼられます。その中でもパイロットになった油井さんは航空自衛官でパイロットをしていた等、とても物語性のある方ですが、他の登場人物も興味深いのです。私は第3の男と呼ばれた金井さんという方に注目しました。潜水医学が専門の方で、「宇宙なのに海底の専門家が選ばれるんだな」と意外でした。
Aさん
■「舟を編む」三浦しをん/著 (光文社)
新しい国語辞典の編纂をめぐる小説です。日本語や辞書に関心がある方はぜひ読まれるとよいでしょう。今でも図書館では予約が入る人気の本です。文庫版だと、主人公馬締の書いたラブレターや岩波書店の方の解説も載っています。単行本で読まれた方も、文庫を一読されるとよいと思います。
■「ぼくの好きな時代小説」常盤新平/著(晶文社)
12名の時代小説家が紹介されていますが、ひとり選ぶなら、やはり藤沢周平でしょう。
Hさん
■「マンガで気づく日本人でも知らない日本語」篠崎晃一/著(主婦の友社)
全国の方言が紹介された本です。私は山形出身ではないのですが、山形弁はあったかみがあって、おもしろいです。方言を話す若い人が減っているという話も聞きますが、方言もひとつの文化だと思います。なくならないで欲しいです。
■「耳をさわるだけでからだの不調がス~ッと消える」池川明・飯島敬一/著(カンゼン)
表紙にひかれて読んでみました。頭や腰などの痛みは自立神経の乱れからくるとの事。耳つぼをもんだら調子がよくなりました。
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ご参加のみなさま、ありがとうございました。
今回は非常に幅広いジャンルの本が集まりましたね。とても楽しかったです。
次回は11月29日に開催予定です。興味を持った方、いらっしゃいましたら、ぜひお気軽に遊びにいらしてください。
2015年07月27日
梅雨6月開催のこにだブックトークレポート
今年はカラ梅雨で、雨読の機会が少し少なかった気がします。みなさまはいかがでしたか?
6月28日(日)に、お気に入りの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク』を行い、7名のみなさんにご参加いただきました。
今回紹介された本はこちらです。
Aさん
■「見残しの塔 周防国五重塔縁起」久木綾子/著 (新宿書房)
■「禊の塔 羽黒山五重塔仄聞(そくぶん)」久木綾子/著 (新宿書房)
歴史小説をご紹介します。
89歳で作家デビューした久木綾子。デビュー作「見残しの塔」の取材に14年、執筆に4年を費やしました。延暦寺で1年修行もなさったそうです。
「禊の塔」は羽黒山が舞台。こちらも羽黒山に16回赴いて執筆したとのこと。
いずれもじっくりと書かれた読みごたえのある本です。
Iさん
■“女生徒”「走れメロス」より 太宰治/著(岩波少年文庫)
■「太宰治の辞書」北村薫/著(新潮社)
■「たいようのおなら」灰谷健次郎/編(のら書店)
「太宰治の辞書」は太宰治の創作の謎にせまる文藝ミステリー。
この本に導かれて「女生徒」を読みました。こちらは太宰が女生徒になりきって、思春期の繊細でみずみずしい気持ちをキラキラと語っています。作中に登場する女生徒がつくる“ロココ料理”というものをめぐっての探索が「太宰治の辞書」では描かれています。併せて読むとおもしろさが倍増します。
こどもの詩集「たいようのおなら」は大人が読むと元気になれる詩集です。
Tさん
■「『朝日新聞』問題」徳山喜雄/著(集英社新書)
■「いいがかり 原発『吉田調書』記事取り消し事件と朝日新聞の迷走」編集委員会編(七つ森書館)
■「朝日新聞『吉田調書報道』は誤報ではない」海渡雄一・河合弘之/著(彩流社)
社会的な問題についての本を紹介します。
やっと冷静に原発事故の何が問題なのかを問う本がでてきました。
吉田調書や慰安婦問題など朝日新聞の一連の報道問題や、それへのバッシングなども落ち着いて理解を深める事が著作となっています。
Nさん
■「ナガサキ 消えたもうひとつの原爆ドーム」高瀬毅/著 (平凡社)
■「ブラボー 隠されたビキニ水爆実験の真実」高瀬毅/著 (文藝春秋)
作者と船旅で一緒になったことが縁で手にとった本です。
1冊目は、長崎で浦上天主堂が復元されたことを題材にしています。作者は“怒りの広島、祈りの長崎”と語っています。被爆の土地でもそれぞれ事情が異なっていることがわかりました。
2冊目のタイトルにあるブラボーは第五福竜丸の暗号。福竜丸の生き残った人たちを20数年追った話です。
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ご参加のみなさま、ありがとうございました。今回は社会派の本が多かったですね。
次回は盛夏8月に開催予定。興味を持った方、いらっしゃいましたら、ぜひお気軽に遊びにいらしてくださいね。
2015年04月05日
3月のこにだブックトークレポートです
年度末が押し迫る3月22日(日)に、おすすめの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク』を行いました。
この日の夜はモンテディオのJ1ホーム初戦。午後に読書会を設定すると、応援に行くのに時間がせわしない! ということで、初の午前開催となりました。
春の朝は爽やかで、ちょっとすがすがしい心持になり、次回も午前開催にしようかなと考えています。
当日お集まりいただいたのは8名。お忙しい中、ありがとうございました!
今回、紹介されたのはこちらの本です。
Iさん
■「世界文学は面白い~文藝漫談で世界一周」奥泉光・いとうせいこう/著 (集英社)
タイトルの副題にある“文藝漫談”というイベントに、ここ数年ハマっています。山形三川出身の奥泉先生といとうせいこうさんが、世界の名作小説を漫談風に公開で読み説くというもので、東京で年3-4回行われています。“光がボケて、いとうがツッコむ”というキャッチコピーがあるほどで、ふたりの掛け合いが非常に可笑しく、地味で堅めな名作のもつ思わぬ魅力を、笑いながら発見できます。
『世界文学は面白い~文藝漫談で世界一周』は、そのイベントの誌面による再現の本で、臨場感のあるかけあいが掲載されています。 取り上げられている名作は「カフカ/変身」「ゴーゴリ/外套」「ガルシア・マルケス/予告された殺人の記録」「魯迅/阿Q正伝」等。なかなか手が伸びない堅い作品が多いですが、この本に誘われて読んでみると意外な面白さを発見。対象の本を読んだ後で、彼らのコメントを再読してみると、共鳴できるツッコミが多く、ひとり読書の寂しさも解消できます。古い文学作品へのとっかかりとしてお薦めします。
最近の文藝漫談の様子は、文芸誌『すばる』で年数回掲載されていますのでそちらもぜひ読んでみてください!最新のものは2015.5月号で、「ナボコフ/ロリータ」が掲載されています。過去のものでは「小島信夫/アメリカンスクール(2013.5月号)」もお薦めです。
「世界文学は面白い~文藝漫談で世界一周」【市立図書館蔵書なし】【県立図書館蔵書あり】
文芸誌「すばる」【市立図書館蔵書あり】 本館ブラウジング
HSNさん
■「星の林に月の船~声で楽しむ和歌・俳句」大岡信/編 (岩波少年文庫)
この本で、学生時代に親しんだ詩に再会できました。
時代毎の和歌や俳句を紹介した本で、一つずつ解説もついています。
タイトルは柿本人麻呂の歌の一部。万葉集にある古い歌で、三日月の夜空を詠んだものですが、現代人も惹かれるような、美しく、みずみずしい描写です。
今の季節だと、井原西鶴の詠んだ春の歌に心が弾みます。季節毎の詩を拾い読みしても楽しいと思いました。
また、時代を網羅しているので、“万葉集の頃はおおらか、新古今和歌集の頃は技巧にすぐれている、江戸時代は町民の心を読んだものが多い”等、その時々の傾向の違いも伝わってきます。
少年文庫ですので、気軽に読めるところもお薦めです。副題にあるように、“声に出して耳から読む”と“目で読む”のとはまた違った趣がありますので、ぜひ声に出して読んでみてください。
「星の林に月の船」【市立図書館蔵書あり】 本館ヤングコーナー 請求記号/911/ホ/
Tさん
■「地方消滅」増田寛也/著 (中公新書) 「地方消滅の罠」山下裕介/著(ちくま新書)
「地方消滅」は、20-35歳の女性人口に着目して、地方の人口減少を語った社会評論です。
“日本の自治体の半数は、25年後に人口が半減する”という衝撃的なレポートになっており、“増田レポート”と注目されている本です。作者が対応策として挙げているのが、“中核都市を社会的流出を防ぐ人口のダムにする”という考え方です。
この点を批判して、山下裕介という社会学者が『地方消滅の罠』『限界集落の真実』といった本を書いています。
増田レポートでは明示していませんが、人口ダムの策をとれば中核都市以外の地域をつぶすことになり、この点を山下氏は批判しているわけです。代わりに、“中核都市だけでなく、1つ1つの集落に注目する”立場を取っています。“高齢者しかいない集落でも、何かあれば出ていった子供たちが集落に集まってくる、そういった形で集落を残す”事を提案しています。
増田レポートで、“8割以上人口減少する”とされている5県に山形も含まれています。両者の本を理解することは、将来を考える上で役立つことと思います。山下裕介氏は他に『東北発の震災論』という本を書いており、こちらもお薦めします。
あと、時間切れで中身を紹介できませんでしたが、「アベノミクスの終焉」服部茂幸/著(岩波新書)も、興味深く読みました。
「地方消滅」【市立図書館蔵書あり】 本館 特集 請求記号/334.3/マスダ/
「地方消滅の罠」【市立図書館蔵書あり】 本館文庫新書コーナー請求記号/361.7/ヤマシ/
HSYさん
■「恋しくて」村上春樹/編訳 (中央公論新社)
村上春樹が好きです。その村上春樹がセレクトし、翻訳した10作品の恋愛小説アンソロジーがこの本です。春も近いですし、恋の本もいいかなと思って今日持ってきました。
雑誌ニューヨーカーで紹介された小説がベースで、あまり知られていない作者が多かったですが、1篇ずつ、村上春樹が解説をつけていて楽しめます。一緒に恋愛甘苦度が★で記されているところも面白いです(苦い★★★★ 甘い★等)。
村上春樹自身も1篇書いています。タイトルは『恋するザムザ』。ザムザと言えば、カフカの『変身』を思い出しますが、こちらは虫が人間になる小説です。
人間には当然と思える様々な習慣が、虫出身の彼には思いもよらないことで、ザムザは「人間ってなんて面倒臭いんだ」と感じながら人として生活しています(ex.フォークやナイフを使って食事をしないといけない、恋を成就させるために相手といろいろやりとりしないといけない等)」。この辺り、自分にとっては、改めて人間の暮らしぶりがとても新鮮に読め、興味深かったです。
ちなみに、カフカのザムザと違って、最後は希望が持てる展開になっていて、人として生きる事の喜びも感じていきます。
「恋しくて」【市立図書館蔵書あり】 本館 一般開架 請求記号/908.3/コイシ/
Oさん
■「火天の城」山本兼一/著 (文藝春秋)
ジャケ買いした本です! 本の本体に安土城のイラストが、それを包む透明の外カバーに安土城の図面が描かれていて、目を惹きました。
こちらは織田信長の安土城を建てた大工棟梁の物語。この棟梁の名字が自分と同じで、そんな有名なO一族もいるのかと思って、更に読みたくなりました(笑)。
安土城は、今は存在しないまぼろしの城。信長の命で七重の塔として計画され、その為には45センチ角×16メートルの通し柱が4本必要とされました。そんな条件にかなう木の樹齢は2500年にもなります。それほどの木を探す困難や運搬する困難などが築城にあたって待ち構えています。
信長は「建てる」と言うだけですが、それを実現するのは現場の棟梁。作者の山本兼一は、そんな表舞台に出ない人に光を当てており、この本は困難に立ち向かう棟梁一家の家族の物語となっています。
綿密に取材をしたようで、先ほどのような築城の大変さの詳細な描写も読みどころです。
この作品は映画化もされました(西田敏行が主役の棟梁役)。同じ作者の直木賞受賞作「利休にたずねよ」も映画になりました。
もっと追いかけていきたい作家だったのですが、昨年57歳で亡くなりました。とても残念です。
【市立図書館蔵書あり】 本館・中央分館・北部分館・霞城分館 一般開架 請求記号/ /ヤマモ/
Yさん
■「九年前の祈り」 小野正嗣/著 (講談社) 「浦からマグノリアの庭へ」 小野正嗣/著 (白水社)
「九年前の祈り」は芥川賞を受賞する前に雑誌で読みました。大分のリアス式海岸の集落で暮すシングルマザーが主人公。音楽を聞いているような語り口調で、ゆったりした気持ちになります。これはきっと大分の方言がそういう気持にさせるのだと思いました。山形弁ではこういう空気感は表わせないのではと感じました。
「浦からマグノリアの庭へ」は、その作者がフランス留学時代を振り返ったエッセイ。下宿先の教授宅で一緒になるアフリカ系難民の存在等、現代フランスに通ずる社会状況も伺えます。自分の知らない世界に運んでいってくれるエッセイです。
「九年前の祈り」【市立図書館蔵書あり】 本館・霞城分館 一般開架請求記号/ /オノマ/
「浦からマグノリアの庭へ」【市立図書館蔵書あり】 本館特集 1請求記号/914.6/オノマ/
■「洋子さんの本棚」 小川洋子・平松洋子/著 (集英社)
読書家で知られた、二人の洋子さんが子供の頃から読んできた本について語っているエッセイ。
思春期にどんな本を読んだのかや、その頃の母と娘の想い、進路の選び方等が書かれています。女性が読むと、「私も読んだ」「そんなふうに感じていた」と共感する部分が多いのでは思います。
「洋子さんの本棚」【市立図書館蔵書あり】 本館新着本コーナー請求記号/019.9/オガワ/
■「サンドリーヌ裁判」 トマス・H・クック/著
夫婦の深層心理をベースにしたサスペンスです。
「サンドリーヌ裁判」【市立図書館蔵書あり】 本館新着本コーナー請求記号//933.7/クツク/
ご参加のみなさま、いろんな視点の本をご紹介くださり、ありがとうございました。
今回、午前に開催してみて、休日の朝、図書館で好きな本についておしゃべりするというのは、なかなか気持ちのよいものだと思いました。進行など未熟な部分も多いと思いますが、参加のみなさんのお力もお借りして、今後も“こにだブックトーク”を楽しい時間にしていきたいと考えています。
次回は6月に開催予定。興味を持った方、いらっしゃいましたら、ぜひお気軽に遊びにいらしてくださいね。
2015年01月11日
こにだブックトーク初冬の会レポート
2014年11月30日(日)、おすすめの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク』を行いました。
当日お集まりいただいたのは10名。師走がせまるお忙しい中、ご参加いただき、ありがとうございました!今回、紹介されたのはこちらの本になります。
Yさん
■「天人~深代惇郎と新聞の時代」 後藤正治/著 (講談社)
最近は、バッシング等厳しい状況にある朝日新聞ですが、かつて「天声人語」の名コラムニストとして知られた深代惇郎という人物がいました。
この本は、作者の後藤正治がその深代惇郎とその時代について、丹念にきっちり調べて書いた人物ノンフィクション。読むと、かつて言葉に力があった頃の1960-70年代の時代がわかります。
発行は2014年10月と最近です。今、改めて言葉や新聞というものを考えながら読むのによいのではないでしょうか。後藤正治は茨木のり子の評伝も書いており、こちらもよかったです。
(編集部:調べたところ、「天人」とは天声人語の愛称のような呼び名でした。「天声人語」の意は「天に声あり、人をして語らしむ」とのこと)
【市立図書館蔵書あり】霞城分館 請求記号/289.1/フカシ/
■「向田邦子 性を問う~『阿修羅のごとく』を読む」 高橋行徳/著 (いそっぷ社)
33年前に放映されていた向田邦子作のTVドラマ「阿修羅のごとく」をご存知ですか?男女の愛の並々ならぬ深さが描かれた不朽の名作です。
そのドラマのセリフを分析して、魅力に迫ったのがこの本。読んで、かつて見たドラマが自分の中によみがってきました。向田邦子は、こんなに密度を深くこめてセリフを書いていたのだなと思いました。
【市立図書館蔵書あり】本館請求記号/912.7/ムコウ/
Oさん
■「ユゴーの不思議な発明」 ブライアン・セルズニック/著 金原瑞人/訳 (アスペクト)
分厚い本ですが、児童書です。多くの絵や写真が続いていて、ところどころ文章が入る形ですので、すぐ読めます。作者のセルズニックが文章も絵も書いています。
主人公は、ユゴー少年。みなしごで駅の構内に隠れながら暮らしています。彼の夢はからくり人形を作ること。その彼の物語に、映画の創世期のエピソードやマジシャンの話などが絡みながら、お話が進んでいきます。
最後に彼が発明したものが出てくるのですが、「えっ、それ!あーそうか」と思って、腑に落ちます。
これを原作にした映画も2011年に公開されましたが、本の結末は読んでのお楽しみ!
ちなみに訳者の金原瑞人さんは作家金原ひとみのおとうさんです。
【市立図書館蔵書あり】本館請求記号/933.7/セルズ/
Aさん
■「孤舟」 渡辺淳一/著 (集英社)
主人公は大手広告代理店を定年退職した60歳の男性。退職後、家族との間に深い溝を感じる日々を過ごしています。
この本に出てくる壮年の男性たちはブラブラしているのに、女性はみな忙しく自分の時間を生きています。
主人公も最後には「これから新しく生きていこう」と前向きになっていくのですが、退職経験がある自分にはその心情がよくわかりました。定年前に、これを読んで準備するのもよいのではと思いました。
渡辺淳一の晩年の作品です。
【市立図書館蔵書あり】本館・中央・東部・北部分館 請求記号/ /ワタナ/
■「『ずぼら』人生論」 ひろさちや/著 (三笠書房)
作者は東大インド哲学科卒業の思想家。「終活なんておやめなさい」という本も書いており、最近注目しております。キリギリスとアリのたとえ話などがあり、おもしろくいろいろ考えさせられます。
【市立図書館蔵書あり】本館請求記号/159/ヒロサ/
Sgさん
■「すべてのいのちが愛おしい」「露の身ながら」柳澤桂子/著 (集英社文庫)
柳澤桂子さんは、遺伝学者で現在70代後半。若くして難病になり、ベットで暮しながら著書を発表しています。
「すべてのいのち~」は、柳澤さんがお孫さんに書いた手紙という形をとっていて、宇宙やいのちについて語りかけています。
また「露の身~」は免疫学者・多田富雄さんとの共著。多田さんも病気で闘病中で、ふたりの往復書簡集になります。ベットに寝たきりのふたりが、DNAや命の事などを書簡で語り合っています。
この2冊は自分でも読みましたが、ある友人に薦めました。実はその友人が3年間ねたきりになって、「生きることはもういいの」と言うのです。自分は、言葉にならない、なにかを伝えたくて、この本をその友人のところへ持って行きました。まだ、その友人とその本の話はできていませんが、私の中で思いのある本です。
【市立図書館蔵書あり】「すべてのいのちが愛おしい」 本館 請求記号/460.4/ヤナギ/・「露の身ながら」本館 請求記号/490.4/タダト/
Smさん
■「フラワー・オブ・ライフ 全3巻」よしながふみ/著 (白泉社)
コミックを紹介します。
主人公は1カ月遅れで新入生として入学した高校1年の春太郎。“フラワー・オブ・ライフ”とは“盛りの頃”の意。“高校1年生”という人生の中でもそこでしかない時間を3冊で描いています。
読んでいると、どんなに仲のよい友達でもゆずれない一線があったり、お互い明かせない秘密を持っていたりで、“一緒に過ごしていても、同じ時間ではないこと”に気づきます。家族同然に思っていたのに、いじわるされたり・・・。そうした複雑な心情が巧みに描かれています。
春太郎はマンガを描いており、やがて編集者といった学校や家族以外の人と接点を持つようになり、話が展開していきます。
学校の先生も一人の弱さをもった人間として登場する等、周辺のキャラクターも魅力があります。
作者のよしながふみさんは他に「大奥」が有名です。
【市立図書館蔵書なし】
Tさん
■「TPP亡国論」 中野剛志/著 (集英社新書)
TPP交渉が今最後の段階を迎えていますが、この本は2011年に書かれたTPPに関する評論です。
TPP=「トランス・パートナー・シップ」は、9カ国の交渉ですが、実質的には日米の交渉との事。
関税だけでなく、サービスなど様々な分野で規制を取り払おうというものです。
この本では、最終的になぜ日本がTPPが登場すると思考停止に陥ってしまうのかについても書かれおり、アメリカへの依存がさらに深まることへ警鐘を鳴らしています。
TPPへの理解に役立つ本としてお薦めします。
【市立図書館蔵書あり】本館請求記号/678.3/ナカノ/
Nさん
■「あしながおじさん」ジーン・ウェブスター/著 「秘密の花園」 バーネット/著
挿絵画家になるのが夢だった少女の頃に読んだ私の大切な本です。最近、100円ショップで買い直して読みました。
「あしながおじさん」は孤児の少女が主人公。大学への進学を支えてくれる、会ったことのないあしながおじさんへ毎月手紙を書きます。でも返事は一切きません。最後の大どんでん返しがおもしろいですよ。
「秘密の花園」もココロの中にいつまでも残るお話です。
こうした本を改めて読んで、少女の頃の読書を思い出しました。大人目線で読むと、入ってくるものが違って、今の自分にとってこその再発見があります。
【市立図書館蔵書あり】「あしながおじさん」本館 請求記号/93/ウエブ/・「秘密の花園」本館請求記号/93/バネツ/
Iさん
■「火を熾す」 ジャック・ロンドン/著 (スイッチ・パプリッシング)
11月始めまで図書館で展示されていた【わたしのおすすめ本】で紹介されていた本です。ジャック・ロンドンの名前は聞いた事がありましたが、古い作家という位しか印象がなく、この展示がなければ、手に取らなかったと思います。ちなみにジャック・ロンドンは20世紀初頭の作家です。
こちらの本は短編集。どの話も読みだすとこの結末はどうなってしまうのかと、グイグイ引き込まれました。現代の小説はグレーな結末という話も多いですが、ジャック・ロンドンの短篇は最後に白黒の決着がついて、ある種のカタルシスが味わえる気がします。
タイトルの「火を熾す」は、極寒のユーコン川沿いを歩く男の話。究極的に追い詰められる彼が果たして無事に生還できるかが読みどころです。
【市立図書館蔵書あり】本館請求記号/933.7/ロンド/
大切な思い出の本を沢山ご紹介いただき、本当にありがとうございました。
ブックトークを通じて、ひとつひとつのエピソードが記録として残していきたいと改めて感じました。
次回は3月を予定しています。春の訪れを待ちわびる中、また開催したいと思います。
2014年11月28日
いとうひろしさんのワークショップ開催しました
11月8日(土)に、
絵本作家いとうひろしさんをお招きして、
小学生対象のワークショップ『見えないものを描いてみよう』を
開催しました。
この日集まった小学生は23名。
公園に出かけて、木づちなどで、遊具・樹木・ベンチ・花壇まわりの石垣等をたたいてまわり、その音・感触などを思ったまま、画用紙いっぱいに描きました。
子供たちの感性はすばらしく、私たちボランティアは目をみはりながら、その姿を見守りました。
参加してくださったみなさま、そしていとうひろしさん、ありがとうございました。
2014年09月30日
こにだブックトーク夏レポート
まだ暑さの残る8月最終日曜日、おすすめの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク』を行いました。
当日お集まりいただいたのは8名。常連さんから初参加の方までみなさま、暑い中ご参加ありがとうございました。
今回、紹介されたのはこちらの本です。8月ということだからでしょうか、「歴史・戦争・平和・広島」に絡む本が多かったようです。
Yさん
■「月と六ペンス」サマセット・モーム/著 金原瑞人/訳 (新潮文庫)
訳者の金原瑞人さんは、作家金原ひとみさんのおとうさん。1919年に出版された昔の小説ですが、若い方の訳だと楽しいのではと思って手にとりました。
主人公はストリックランドという画家です。ゴーギャンがモデルになっているようで、特異な画家の情熱的な生きざまが書かれています。
モームはイギリス人で、人物描写や会話におもしろさがあります。皮肉がきいていて、研ぎ澄まされたものを感じました。
名の知られた小説ですが、まだ読んでいないという方も多いのではないでしょうか? たまには、古い作家のものも読むとおもしろいなと思いました。ぜひ、若いみなさんに読んでいただきたいですね。
【市立図書館蔵書あり】本館 請求記号/933.7/モムウ/
Iさん
■「幻の声 NHK広島 8月6日」 白井久夫/著 (岩波新書)
8月のブックトークということで、広島を舞台にした本を紹介します。
原爆が投下された10-15分後の広島に、ラジオから電波の交信を求めた女性の声が流れたという話があったそうです。 壊滅状態の広島でそんな事が本当にあったのか、可能だったのか、放送したのは一体誰だったのか、、、その謎を追ったルポルタージュです。著者はNHKラジオディレクターで視聴者からのハガキでその話を知り、その謎を理性的に、客観的に追っていきます。
自分としては謎に惹かれてこの本を手に取ったのですが、読み進めていく事で、結果的に戦争のある一面を知ることになりました。読まなくてはならないとも思うのですが、戦争ものは気が重く、手にとりにくいのが正直なところです。が、今回は“謎を追う”という切り口が、戦争ものを読むひとつのきっかけになりました。そういう入り方があってもいいのではと思いました。
■「その日東京駅五時二十五分発」 西川美和/著 (新潮社)
もう一冊、広島に関係した本を。広島出身の映画監督西川美和さんの小説です。
ここでの「その日」は日本が終戦を迎えた8月15日。主人公は19歳の若き通信兵。一般の人より一足早く終戦を告げられて任務を解かれ、終戦の日に東京から故郷広島へ向かう鉄道の中で、幼い頃から今に至る自分や故郷、戦争や死などを回想します。
あとがきがすばらしいので、忘れずにぜひ読んでください。
【市立図書館蔵書あり】本館 請求記号/ /ニシカ/
Tさん
■「永続敗戦論-戦後日本の核心」白井聡/著 (太田出版)
強烈なメッセージで昨年から話題になっている論説本です。自分の手持ちの本では14刷にもなっています。
この作者は、「日本は敗戦を認めていない。その事によって、敗戦がずっと続いている状態なのだ」と説いています。そして、それは「日本国民に対する侮辱なのだ」と。
ドイツが敗戦の責任をとり賠償を行ってきたことと対比して、賠償をしていない日本の特異な経緯について、書かれています。この本を読むと、アメリカとの関わり、領土問題の本質がどういう事なのかがわかります。
【市立図書館蔵書あり】本館 請求記号/319.1/シライ/
Nさん
■「ネルソン・マンデラ」 カーディル・ネルソン/著 (鈴木出版)
こちらは昨年12月に95歳で亡くなったネルソン・マンデラの人生を伝えてくれる絵本。
マンデラはすばらしい人でした。黒人ということで差別や虐待を受けたのですが、白人に恨みを晴らすのではなく、全世界の人に「夢の国を作ろう」と語ったのです。南アフリカ共和国の大統領も務めました。アパルトヘイト撤廃を訴え、ノーベル平和賞を受賞しました。一方で奥さんを3人もかえたという人間くさい一面もあります。
メモを沢山書いており、文章も沢山残っています。アフリカのロベン島の刑務所に長年いましたが、その時にも書いていたようです。そのためか、本になっているものも多く、自伝も書いていて、最近映画にもなりました。「ネルソン・マンデラ 私との対話」「自由への長い道 ネルソン・マンデラ自伝」等。
私は、少女時代から偉人伝が好きでした。数年前に、マンデラがどういう世界で空気を吸っていたのかを知りたくて、ヨハネスバーグのケープタウンへも行きました。
【市立図書館蔵書あり】 「ネルソン・マンデラ」 カーディル・ネルソン/著 本館 請求記号児童書/E/ネ/
Aさん
■「天佑なり-高橋是清・百年前の日本国債 上・下」幸田真音/著 (角川書店)
借金である日本国債残高が膨大になる昨今、当時に重なるものがあるのではと、この本を手にとりました。
タイトルの「天佑」とは「天の助け」を意味します。
高橋是清は、大蔵大臣を務め、日本のケインズと言われるほどですが、若い頃をみると意外におもしろい人物。留学したアメリカで契約書をよく読まず奴隷になってしまうなど、変わったエピソードの持ち主です。銀行の仕事につく前は、英語教員、商標登録や専売特許の仕事、銀山採掘など様々な仕事をしていたようで、上巻はこうした若い日々が描かれています。
下巻では、日本銀行支店長からいろんな職務を経て総裁へとなっていきます。当時の金融界について、特に日露戦争の戦費調達での外国との駆け引き、型破りな発想力なども魅力的に描かれています。上巻は若い人に、下巻は官僚、政治を目指す人に読んでもらいたいです。
この本を読んで、かつて仕事で社債1500万ドル発行申請のために大蔵省(現財務省)の正門から国債金融局に行った事を思い出しました。
【市立図書館蔵書あり】本館・中央 請求記号・上巻/ /コウダ/1・下巻 / /コウダ/2
次回の“こにだブックトーク”は11月30日(日)午後1時30分~3時です。会場は山形市立図書館本館2階の講座室(山形市小荷駄)です。
参加料は無料で、聞くだけのご参加も歓迎です。
お申込みはメールでkonidanomidorikara@gmail.comまでお願いいたします。
当日お集まりいただいたのは8名。常連さんから初参加の方までみなさま、暑い中ご参加ありがとうございました。
今回、紹介されたのはこちらの本です。8月ということだからでしょうか、「歴史・戦争・平和・広島」に絡む本が多かったようです。
Yさん
■「月と六ペンス」サマセット・モーム/著 金原瑞人/訳 (新潮文庫)
訳者の金原瑞人さんは、作家金原ひとみさんのおとうさん。1919年に出版された昔の小説ですが、若い方の訳だと楽しいのではと思って手にとりました。
主人公はストリックランドという画家です。ゴーギャンがモデルになっているようで、特異な画家の情熱的な生きざまが書かれています。
モームはイギリス人で、人物描写や会話におもしろさがあります。皮肉がきいていて、研ぎ澄まされたものを感じました。
名の知られた小説ですが、まだ読んでいないという方も多いのではないでしょうか? たまには、古い作家のものも読むとおもしろいなと思いました。ぜひ、若いみなさんに読んでいただきたいですね。
【市立図書館蔵書あり】本館 請求記号/933.7/モムウ/
Iさん
■「幻の声 NHK広島 8月6日」 白井久夫/著 (岩波新書)
8月のブックトークということで、広島を舞台にした本を紹介します。
原爆が投下された10-15分後の広島に、ラジオから電波の交信を求めた女性の声が流れたという話があったそうです。 壊滅状態の広島でそんな事が本当にあったのか、可能だったのか、放送したのは一体誰だったのか、、、その謎を追ったルポルタージュです。著者はNHKラジオディレクターで視聴者からのハガキでその話を知り、その謎を理性的に、客観的に追っていきます。
自分としては謎に惹かれてこの本を手に取ったのですが、読み進めていく事で、結果的に戦争のある一面を知ることになりました。読まなくてはならないとも思うのですが、戦争ものは気が重く、手にとりにくいのが正直なところです。が、今回は“謎を追う”という切り口が、戦争ものを読むひとつのきっかけになりました。そういう入り方があってもいいのではと思いました。
■「その日東京駅五時二十五分発」 西川美和/著 (新潮社)
もう一冊、広島に関係した本を。広島出身の映画監督西川美和さんの小説です。
ここでの「その日」は日本が終戦を迎えた8月15日。主人公は19歳の若き通信兵。一般の人より一足早く終戦を告げられて任務を解かれ、終戦の日に東京から故郷広島へ向かう鉄道の中で、幼い頃から今に至る自分や故郷、戦争や死などを回想します。
あとがきがすばらしいので、忘れずにぜひ読んでください。
【市立図書館蔵書あり】本館 請求記号/ /ニシカ/
Tさん
■「永続敗戦論-戦後日本の核心」白井聡/著 (太田出版)
強烈なメッセージで昨年から話題になっている論説本です。自分の手持ちの本では14刷にもなっています。
この作者は、「日本は敗戦を認めていない。その事によって、敗戦がずっと続いている状態なのだ」と説いています。そして、それは「日本国民に対する侮辱なのだ」と。
ドイツが敗戦の責任をとり賠償を行ってきたことと対比して、賠償をしていない日本の特異な経緯について、書かれています。この本を読むと、アメリカとの関わり、領土問題の本質がどういう事なのかがわかります。
【市立図書館蔵書あり】本館 請求記号/319.1/シライ/
Nさん
■「ネルソン・マンデラ」 カーディル・ネルソン/著 (鈴木出版)
こちらは昨年12月に95歳で亡くなったネルソン・マンデラの人生を伝えてくれる絵本。
マンデラはすばらしい人でした。黒人ということで差別や虐待を受けたのですが、白人に恨みを晴らすのではなく、全世界の人に「夢の国を作ろう」と語ったのです。南アフリカ共和国の大統領も務めました。アパルトヘイト撤廃を訴え、ノーベル平和賞を受賞しました。一方で奥さんを3人もかえたという人間くさい一面もあります。
メモを沢山書いており、文章も沢山残っています。アフリカのロベン島の刑務所に長年いましたが、その時にも書いていたようです。そのためか、本になっているものも多く、自伝も書いていて、最近映画にもなりました。「ネルソン・マンデラ 私との対話」「自由への長い道 ネルソン・マンデラ自伝」等。
私は、少女時代から偉人伝が好きでした。数年前に、マンデラがどういう世界で空気を吸っていたのかを知りたくて、ヨハネスバーグのケープタウンへも行きました。
【市立図書館蔵書あり】 「ネルソン・マンデラ」 カーディル・ネルソン/著 本館 請求記号児童書/E/ネ/
Aさん
■「天佑なり-高橋是清・百年前の日本国債 上・下」幸田真音/著 (角川書店)
借金である日本国債残高が膨大になる昨今、当時に重なるものがあるのではと、この本を手にとりました。
タイトルの「天佑」とは「天の助け」を意味します。
高橋是清は、大蔵大臣を務め、日本のケインズと言われるほどですが、若い頃をみると意外におもしろい人物。留学したアメリカで契約書をよく読まず奴隷になってしまうなど、変わったエピソードの持ち主です。銀行の仕事につく前は、英語教員、商標登録や専売特許の仕事、銀山採掘など様々な仕事をしていたようで、上巻はこうした若い日々が描かれています。
下巻では、日本銀行支店長からいろんな職務を経て総裁へとなっていきます。当時の金融界について、特に日露戦争の戦費調達での外国との駆け引き、型破りな発想力なども魅力的に描かれています。上巻は若い人に、下巻は官僚、政治を目指す人に読んでもらいたいです。
この本を読んで、かつて仕事で社債1500万ドル発行申請のために大蔵省(現財務省)の正門から国債金融局に行った事を思い出しました。
【市立図書館蔵書あり】本館・中央 請求記号・上巻/ /コウダ/1・下巻 / /コウダ/2
次回の“こにだブックトーク”は11月30日(日)午後1時30分~3時です。会場は山形市立図書館本館2階の講座室(山形市小荷駄)です。
参加料は無料で、聞くだけのご参加も歓迎です。
お申込みはメールでkonidanomidorikara@gmail.comまでお願いいたします。
2014年05月20日
桜満開!こにだブックトーク春の会レポート
春爛漫! 桜満開の4月20日(日)に、おすすめの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク』を行いました。
当日お集まりいただいたのは9名。初回からご参加くださっている方、はじめてのぞきにいらした方など、思い思いの気持を携えて、お集まりくださいました。
今回、紹介されたのはこちらの本です!
Tさん
■「ホテルローヤル」桜木紫乃/著 (集英社)
最近は小説をあまり読んでいなかったのですが、“小説家になろう講座”へ作者が講師としてみえたのがひとつのきっかけになり、この本を読んでみました。
作者は最初の1冊(「氷平線」)が出てから、ずっと掲載されない中で小説を書き続け、この作品で直木賞を受賞しました。今も釧路にお住まいで、とにかく一生懸命に書いている様が作品からも伺えます。
「ホテルローヤル」では自分の父親が経営していたラブホテルを舞台に、人間模様を描いています。男女の間の話なのですが、骨太な作品になっていると感じました。
7つの短編のうち、一番おもしろかったのが『シャッターチャンス』。編集者の提案で、廃墟のラブホテルで写真撮影をするダメ男に付き合う女性が主人公で、その女性の気持が実によくかけてます。
全体を通じて、男性蔑視な位、ダメ男が沢山登場しますが、男性の自分としては“こんなダメな男ばかりじゃないよ”と思ったりもしました(笑)。
ちなみに、“小説家になろう講座”を主宰している池上冬樹さんによると「氷平線の方が更によい」とのことでした。
【市立図書館蔵書あり】本館・中央分館・東部分館・北部分館・霞城分館 分類913.6 請求記号/ /サクラ/
Iさん
■「フランス組曲」イレーヌ・ネミロフスキー/著 (白水社)
作者はウクライナ生まれのユダヤ人女性。ロシア革命時に、フランスへ逃れ、作家として活躍しました。
この本は、その作者が第二次世界大戦のさなかに、まさにその戦争を描いた小説です。舞台はフランス。戦火の元で繰り広げられる人間模様が描かれています。
読んで驚きを感じたのが、作者自身がユダヤ人として明日をも知れぬ身でありながら、ドイツ軍人を一方的に悪の存在としては描いていない点。集団として捉える“敵”であっても、ひとりひとりを見ると気持のかよい合う側面もあるのだという事を改めて教えてくれます。自分には、ドイツ軍人と言えば「ハイルヒットラー!」と叫ぶイメージしかなかったのですが、今までない視点を与えてくれた作品です。また、ヨーロッパの歴史の複雑さも改めて感じました。
最後につけられた制作ノートにも感動しました。この本は、作者がアウシュビッツの収容所へ送られ亡くなった事で、未完の大作となっています。5章のうちの2章しか書くことがかないませんでした。ノートからは、切迫した状況の中でも作品構想の手を緩めない作家としての気迫が感じられます。
同じく、第二次世界大戦のヨーロッパを描いた『HHhHプラハ、1942年』(アラン・ピネ/著)はドキドキしながら読みました。こちらはチェコスロバキアのレジスタンスの史実を下敷きにした物語です。
「フランス組曲」【市立図書館蔵書なし/県立図書館蔵書あり】
「HHhHプラハ、1942年」【市立図書館蔵書あり】 霞城分館 分類953.7 請求記号/953.7/ビネロ/
Fさん
■「蜩ノ記」葉室麟/著 (祥伝社)
最初から涙です!
云われのないとがで、10年後の切腹を言い渡された武士戸田秋谷(しゅうこくと読みます)。彼が残された日々を家族と過ごす様を描いた小説です。タイトルの「蜩ノ記」はメモ書きのように日常の様子を記す事を意味します。
秋谷の監視におくられた20代の青年武士庄三郎。監視の御役目を果たすうちに、秋谷の人柄に傾倒していきます。庄三郎をはじめ、周りのみんなが秋谷を助けたくて、策を講じるのですが、、。
直木賞を受賞した作品です。
【市立図書館蔵書あり】 本館・霞城分館 分類913.6 請求記号//ハムロ/
■「ふるさと銀河線」高田郁/著 (双葉文庫)
鉄道沿線で見受けられる人々の暮しが描かれています。
この作者は「みをつくし料理帖シリーズ」も有名です。小説に登場する料理のレシピが掲載されていて、自分でも作ってみました。
【市立図書館蔵書あり】本館 分類913.6 請求記号//タカダ/
Nさん
■「プラテーロとぼく」J.R.ヒネメス/著 (岩波書店)
問題です!プラテーロは「毛がムクムクで、かぶと虫のような目をしています」。
さて、プラテーロって何だと思いますか?・・・・・答えはロバ。
「月の銀色」の意をもつ「プラテーロ」という名のロバと、スペインの詩人ヒネメスとの心象風景が宝石のようにまとめられた児童書です。
ヒネメスは、毎日あちこちを歩きまわります。何気ない、普通の毎日ですが、一日一日の気づきを、プラテーロに語りかけます。例えば花の事や空の青さについて。プラテーロへの語りかけの中に、深い気持がこめられています。
また、とても美しい言葉で訳されていて、すてきなフレーズが沢山あります。訳者は長南実さんです。
長くみなさんに読まれているのか、図書館では買い直しているようです。図書館のリサイクル本を入手して、愛読しています。図書館の蔵書は現在地下書庫にありますので請求してみてください。
ヒネメスはノーベル賞文学賞も受賞しています。
【市立図書館蔵書あり】 本館地下児童 分類961 請求記号/96/ヒメネ/
Aさん
■『梅の蕾」~「遠い幻影」より 吉村昭/著 (文藝春秋)
NHKのラジオ文芸が好きでよく聴いています。その番組で大変感銘を受けたのが「遠い幻影」という短篇集に入っている『梅の蕾』です。
医者のいない村に、ある先生がくるところから話がはじまります。この先生の妻は病気を患っており、その彼女が山が好きだということがこの村に来るきっかけになっています。
過ごしてゆくうちに、村人と妻との間に交流が生まれ、そんな中で梅のなえ木を妻が村に贈ります。
最後、妻は亡くなってしまうのですが、村人たちがそのお葬式に来るところが感動的です。
吉村昭は好きな作家。実話をベースにした作品が多く、「大黒屋光太夫」も小説で歴史を知る事ができてお薦めです。大震災後に「三陸海岸大津波」も再版されました。
「遠い幻影」【市立図書館蔵書あり】 中央分館 分類913.6 請求記号//ヨシム/
「大黒屋光太夫」【市立図書館蔵書あり】 本館・霞城分館 分類913.6 請求記号//ヨシム/
Oさん
■「いちから聞きたい放射線のほんとう」菊池誠・小峰公子/著 おかざき真里/絵 (筑摩書房)
原発事故があって、「放射線」は日本人としてずっと付き合っていかなくてはならないテーマになったと思います。
この本は、会話形式で書かれていて、わかりやすい点がお薦めです。おかざき真里がマンガを描いているところも親しみやすさにつながっていて、中高生でもわかるように書かれています。
“ほんとう”という切り口も自分の中ではポイントになっています。今の時代、新聞やテレビの情報をうのみにするのは心配です。データの改ざんの歴史もありますし、、。自分の判断も必要だと考えて、勉強したくてこの本を手に取りました。
立体的に情報を見ないと全容は捉えられないと感じるようになってきています。
Yさん
■「穴」小山田浩子/著 (新潮社)
筋のシュールさやだんだんズレてゆく不思議な感覚が独特な小説です。
主人公は30代の主婦。夫の実家隣の空き家に引越してきます。特段忙しい用事のない彼女が、近所をウロウロしながら、ブラブラ暮らしているうちに、シュールな世界へだんだんズレこんでいきます。
軽妙な会話も展開されているのですが、何か違和感があります。
作者は相当力量があるんだと感じました。
説明するのがとても難しいです!!ぜひ、実際によんでこのシュールを体験して欲しいと思います。
【市立図書館蔵書あり】東部分館・北部分館 分類913.6 請求記号/ /オヤマ/
■「青い絵具の匂い~松本竣介と私」 中野淳/著(中公文庫)
作者は画家松本竣介と実際に交流があった画家。夭折の画家として知られる松本竣介との思い出について、書いています。
作者は松本を尊敬していて、絵が好きな者同士で、もっぱら絵の話をしていた様子です。
この本では、ふたりが交わした会話がよく再現されていて、ふたりの人と人としての結びつきの濃さを感じる事ができます。この位、深く慕われた松本竣介はしあわせだなぁと思いました。
絵を通じて、日本の歴史も理解する事ができます。
【市立図書館蔵書あり】本館 文庫新書コーナー 分類723.1 請求記号/723.1/マツモ/
■「ネットで『つながる』ことの耐えられない軽さ」藤原智美/著 (講談社現代新書)
「耐えられない軽さ」・・・・どこかで聞いたようなタイトルです(笑)。
ネットことばの怖さについて書かれています。人のことばと自分のことばがごっちゃになる怖さを感じました。
【市立図書館蔵書あり】本館 分類914.6 請求記号/914.6/フジワ/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自分で語ってみてつくづく感じました。借り物でない自分の言葉で本の魅力を紹介するのはなかなか難しいですね。
でもうまく言えなくても大丈夫! 好きな本を語る言葉のアツさは放っておいても伝わります。
ご参加のみなさま、いろんな視点の本をご紹介くださり、ありがとうございました。
次回は夏の回を予定しています。時期は8月になると思います。
興味を持った方、いらっしゃいましたら、ぜひお気軽に遊びにいらしてくださいね。
当日お集まりいただいたのは9名。初回からご参加くださっている方、はじめてのぞきにいらした方など、思い思いの気持を携えて、お集まりくださいました。
今回、紹介されたのはこちらの本です!
Tさん
■「ホテルローヤル」桜木紫乃/著 (集英社)
最近は小説をあまり読んでいなかったのですが、“小説家になろう講座”へ作者が講師としてみえたのがひとつのきっかけになり、この本を読んでみました。
作者は最初の1冊(「氷平線」)が出てから、ずっと掲載されない中で小説を書き続け、この作品で直木賞を受賞しました。今も釧路にお住まいで、とにかく一生懸命に書いている様が作品からも伺えます。
「ホテルローヤル」では自分の父親が経営していたラブホテルを舞台に、人間模様を描いています。男女の間の話なのですが、骨太な作品になっていると感じました。
7つの短編のうち、一番おもしろかったのが『シャッターチャンス』。編集者の提案で、廃墟のラブホテルで写真撮影をするダメ男に付き合う女性が主人公で、その女性の気持が実によくかけてます。
全体を通じて、男性蔑視な位、ダメ男が沢山登場しますが、男性の自分としては“こんなダメな男ばかりじゃないよ”と思ったりもしました(笑)。
ちなみに、“小説家になろう講座”を主宰している池上冬樹さんによると「氷平線の方が更によい」とのことでした。
【市立図書館蔵書あり】本館・中央分館・東部分館・北部分館・霞城分館 分類913.6 請求記号/ /サクラ/
Iさん
■「フランス組曲」イレーヌ・ネミロフスキー/著 (白水社)
作者はウクライナ生まれのユダヤ人女性。ロシア革命時に、フランスへ逃れ、作家として活躍しました。
この本は、その作者が第二次世界大戦のさなかに、まさにその戦争を描いた小説です。舞台はフランス。戦火の元で繰り広げられる人間模様が描かれています。
読んで驚きを感じたのが、作者自身がユダヤ人として明日をも知れぬ身でありながら、ドイツ軍人を一方的に悪の存在としては描いていない点。集団として捉える“敵”であっても、ひとりひとりを見ると気持のかよい合う側面もあるのだという事を改めて教えてくれます。自分には、ドイツ軍人と言えば「ハイルヒットラー!」と叫ぶイメージしかなかったのですが、今までない視点を与えてくれた作品です。また、ヨーロッパの歴史の複雑さも改めて感じました。
最後につけられた制作ノートにも感動しました。この本は、作者がアウシュビッツの収容所へ送られ亡くなった事で、未完の大作となっています。5章のうちの2章しか書くことがかないませんでした。ノートからは、切迫した状況の中でも作品構想の手を緩めない作家としての気迫が感じられます。
同じく、第二次世界大戦のヨーロッパを描いた『HHhHプラハ、1942年』(アラン・ピネ/著)はドキドキしながら読みました。こちらはチェコスロバキアのレジスタンスの史実を下敷きにした物語です。
「フランス組曲」【市立図書館蔵書なし/県立図書館蔵書あり】
「HHhHプラハ、1942年」【市立図書館蔵書あり】 霞城分館 分類953.7 請求記号/953.7/ビネロ/
Fさん
■「蜩ノ記」葉室麟/著 (祥伝社)
最初から涙です!
云われのないとがで、10年後の切腹を言い渡された武士戸田秋谷(しゅうこくと読みます)。彼が残された日々を家族と過ごす様を描いた小説です。タイトルの「蜩ノ記」はメモ書きのように日常の様子を記す事を意味します。
秋谷の監視におくられた20代の青年武士庄三郎。監視の御役目を果たすうちに、秋谷の人柄に傾倒していきます。庄三郎をはじめ、周りのみんなが秋谷を助けたくて、策を講じるのですが、、。
直木賞を受賞した作品です。
【市立図書館蔵書あり】 本館・霞城分館 分類913.6 請求記号//ハムロ/
■「ふるさと銀河線」高田郁/著 (双葉文庫)
鉄道沿線で見受けられる人々の暮しが描かれています。
この作者は「みをつくし料理帖シリーズ」も有名です。小説に登場する料理のレシピが掲載されていて、自分でも作ってみました。
【市立図書館蔵書あり】本館 分類913.6 請求記号//タカダ/
Nさん
■「プラテーロとぼく」J.R.ヒネメス/著 (岩波書店)
問題です!プラテーロは「毛がムクムクで、かぶと虫のような目をしています」。
さて、プラテーロって何だと思いますか?・・・・・答えはロバ。
「月の銀色」の意をもつ「プラテーロ」という名のロバと、スペインの詩人ヒネメスとの心象風景が宝石のようにまとめられた児童書です。
ヒネメスは、毎日あちこちを歩きまわります。何気ない、普通の毎日ですが、一日一日の気づきを、プラテーロに語りかけます。例えば花の事や空の青さについて。プラテーロへの語りかけの中に、深い気持がこめられています。
また、とても美しい言葉で訳されていて、すてきなフレーズが沢山あります。訳者は長南実さんです。
長くみなさんに読まれているのか、図書館では買い直しているようです。図書館のリサイクル本を入手して、愛読しています。図書館の蔵書は現在地下書庫にありますので請求してみてください。
ヒネメスはノーベル賞文学賞も受賞しています。
【市立図書館蔵書あり】 本館地下児童 分類961 請求記号/96/ヒメネ/
Aさん
■『梅の蕾」~「遠い幻影」より 吉村昭/著 (文藝春秋)
NHKのラジオ文芸が好きでよく聴いています。その番組で大変感銘を受けたのが「遠い幻影」という短篇集に入っている『梅の蕾』です。
医者のいない村に、ある先生がくるところから話がはじまります。この先生の妻は病気を患っており、その彼女が山が好きだということがこの村に来るきっかけになっています。
過ごしてゆくうちに、村人と妻との間に交流が生まれ、そんな中で梅のなえ木を妻が村に贈ります。
最後、妻は亡くなってしまうのですが、村人たちがそのお葬式に来るところが感動的です。
吉村昭は好きな作家。実話をベースにした作品が多く、「大黒屋光太夫」も小説で歴史を知る事ができてお薦めです。大震災後に「三陸海岸大津波」も再版されました。
「遠い幻影」【市立図書館蔵書あり】 中央分館 分類913.6 請求記号//ヨシム/
「大黒屋光太夫」【市立図書館蔵書あり】 本館・霞城分館 分類913.6 請求記号//ヨシム/
Oさん
■「いちから聞きたい放射線のほんとう」菊池誠・小峰公子/著 おかざき真里/絵 (筑摩書房)
原発事故があって、「放射線」は日本人としてずっと付き合っていかなくてはならないテーマになったと思います。
この本は、会話形式で書かれていて、わかりやすい点がお薦めです。おかざき真里がマンガを描いているところも親しみやすさにつながっていて、中高生でもわかるように書かれています。
“ほんとう”という切り口も自分の中ではポイントになっています。今の時代、新聞やテレビの情報をうのみにするのは心配です。データの改ざんの歴史もありますし、、。自分の判断も必要だと考えて、勉強したくてこの本を手に取りました。
立体的に情報を見ないと全容は捉えられないと感じるようになってきています。
Yさん
■「穴」小山田浩子/著 (新潮社)
筋のシュールさやだんだんズレてゆく不思議な感覚が独特な小説です。
主人公は30代の主婦。夫の実家隣の空き家に引越してきます。特段忙しい用事のない彼女が、近所をウロウロしながら、ブラブラ暮らしているうちに、シュールな世界へだんだんズレこんでいきます。
軽妙な会話も展開されているのですが、何か違和感があります。
作者は相当力量があるんだと感じました。
説明するのがとても難しいです!!ぜひ、実際によんでこのシュールを体験して欲しいと思います。
【市立図書館蔵書あり】東部分館・北部分館 分類913.6 請求記号/ /オヤマ/
■「青い絵具の匂い~松本竣介と私」 中野淳/著(中公文庫)
作者は画家松本竣介と実際に交流があった画家。夭折の画家として知られる松本竣介との思い出について、書いています。
作者は松本を尊敬していて、絵が好きな者同士で、もっぱら絵の話をしていた様子です。
この本では、ふたりが交わした会話がよく再現されていて、ふたりの人と人としての結びつきの濃さを感じる事ができます。この位、深く慕われた松本竣介はしあわせだなぁと思いました。
絵を通じて、日本の歴史も理解する事ができます。
【市立図書館蔵書あり】本館 文庫新書コーナー 分類723.1 請求記号/723.1/マツモ/
■「ネットで『つながる』ことの耐えられない軽さ」藤原智美/著 (講談社現代新書)
「耐えられない軽さ」・・・・どこかで聞いたようなタイトルです(笑)。
ネットことばの怖さについて書かれています。人のことばと自分のことばがごっちゃになる怖さを感じました。
【市立図書館蔵書あり】本館 分類914.6 請求記号/914.6/フジワ/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自分で語ってみてつくづく感じました。借り物でない自分の言葉で本の魅力を紹介するのはなかなか難しいですね。
でもうまく言えなくても大丈夫! 好きな本を語る言葉のアツさは放っておいても伝わります。
ご参加のみなさま、いろんな視点の本をご紹介くださり、ありがとうございました。
次回は夏の回を予定しています。時期は8月になると思います。
興味を持った方、いらっしゃいましたら、ぜひお気軽に遊びにいらしてくださいね。
2014年02月27日
第2回こにだブックトーク冬の会レポート
1月12日(日)に、おすすめの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク冬の会』という催しを行いました。
当日お集まりいただいたのは男女11名。市立図書館館長さんもご参加くださり、幅広い年代のみなさんと一緒に、本について話したり、聞いたりの2時間となりました。軽く自己紹介をしていただいた後、さっそくブックトーク開始です。
Iさん
■「火山のふもとで」松家仁之/著 (新潮社)
国立現代図書館の設計コンペに参加する、ある設計事務所を舞台にした小説です。図書館でお薦めするのにピッタリだと思って、持ってきました。
主人公はその事務所に就職したばかりの青年。彼を縦糸に、そして彼の師である老建築家を横糸にして、建築が持つ機能や意味、コンペの行方、青年の恋、老建築家の老いなどが描かれています。
人間ドラマの味わい深さもありますが、建築家見習いの若い主人公の目を通して描かれる、実在する教会や図書館といった建物のディテールや考え方が、建築素人の自分には大変新鮮で興味深く感じられました。ネットでは、師のモデルが吉村順三だと話題になっていました。
【市立図書館蔵書あり】本館/一般開架 請求記号//マツイ/ 資料コード01510367
■「華氏451度」レイ・ブラッドベリ/著 (早川文庫)
本をめぐる、ディストピアもののSFです。
この世界では本を持つ事が禁止されており、主人公は本を焼く=焚書を仕事としている中年の男性。彼がある少女に出会った事をきっかけとして、本に目覚め、そして追われてゆくストーリーです。暗い話ですが、最後にちゃんと解決方法が呈示されていて、ちょっとほっとします。
60年も前に書かれたSFですが、古びておらず、自分の頭で考える重要性を感じさせてくれるなど、普遍的な面白さがあります。
【市立図書館蔵書あり】本館 文庫新書コーナー 請求記号/933.7/ブラツ/ 資料コード 01513088
Yさん
■「光」三浦しをん/著 (集英社)
2008年に出た本です。東京のある島が津波に襲われ、全滅する中で、小学生と中学生の子供たち5人だけが生き残ります。その子供たちの将来が描かれてます。
おそろしい事が次々起こり、衝撃のエピローグを迎えます。「光」というタイトルですが、むしろ「闇」のような結末です。人はみんな「光」と「闇」を持っているのだという想いに至りました。
映画になりそうなお話です。
【市立図書館蔵書あり】本館一般開架・東部分館 請求記号//ミウラ/ 資料コード本館01475936 東部分館01475925
■「かわいそうだね?」綿矢りさ/著 (文藝春秋)
自分の彼が元彼女を居候させると言いだす事からはじまる、ドロドロしたお話です(笑)。
最後に女の子が大阪弁で罵倒するシーンがありますが、そこでスカッとしました!
【市立図書館蔵書あり】本館一般開架・東部分館・北部分館・霞城分館 請求記号//ワタヤ/
Ohさん
■「ボーンコレクター」ジェフリー・ディーヴァー/著 (文藝春秋)
元犯罪科学者のリンカーン・ライムシリーズの第1作目。
仕事中の事故で障害をおい、寝たきりになったライムは、婦人警官のアメリア・サックスをアシスタントとして、ベットの上から捜査に当っています。
アメリアとケンカしながらも、豊富な知識を駆使して、ライムが犯人を追いつめていく様子に夢中になりました。
今回の犯人は骨に執着するボーンコレクター。終盤にその犯人が動くことのできないライムの元にやってくるのです。どんでん返しの名人と言われるジェフリー・ディーヴァーなので、最後まで気が抜けません。アメリアの成長も読みどころのひとつです。
映画にもなり、デンゼル・ワシントンがライムを、アンジェリーナ・ジョリーがアメリアを演じています。
【市立図書館蔵書あり】本館 一般開架 請求記号/933.7/デイハ/ 資料コード01298633
Arさん
■「ナマコのからえばり」椎名誠/著 (集英社)
「好きな酒の肴はウニ、ホヤ、ナマコ」という椎名誠が、爽快に豪快に書いているエッセイです。
サンデー毎日に連載したもので、くだらない(?!)ギャグも沢山ある楽しいエッセイです。シリーズ化しています。楽しい話が好きな自分には大変面白く読めました。
息子岳さんの子供について書いた「三匹のかいじゅう」もお薦めです。椎名誠もイクジイしています。
【市立図書館蔵書あり】本館 一般開架 請求記号/914.6/シイナ/ 資料コード01472813
Adさん
■「古事記 いのちと勇気が湧く神話」大塚ひかり/著 (中公新書)
読んでみると、古事記の登場人物も、今の現代人と同じような悩みを抱えていることがわかりました。
古事記が身近に感じられる一冊です。
例えば、アマテラスオオミカミが天岩戸に隠れたのは現代のひきこもりに通じるものだったとか、スサノヲノミコトが暴れたのは、一種の家庭内暴力では、、、等。
天孫降臨のシーンは、スターウォーズを見ているような光景とのこと。きっと多くの方に古事記を身近に感じていただけると思います。
【市立図書館蔵書なし】
■「もろさわようこの今昔物語集 わたしの古典」(集英社)
現代人が古典を解釈しなおすと、新しいおもしろさが見えてきます。
【市立図書館蔵書あり】本館 地下一般 請求記号/913.3/モロサ/ 資料コード01157424
Tさん
■「おどろきの中国」橋爪大三郎・大澤真幸・宮台真司/著 (講談社現代新書)
中国について、3人の社会学者が鼎談しています。
中国との関係が取りざたされており、中国という国を知りたいと思い手に取りました。「そもそも国家なのか?」という刺激的な帯コピーが目を引きます。
「広い国土を持つ中国で、漢字という文字の誕生した意味」、「皇帝世襲や科挙の試験の目的」、「日本に対する認識の歴史」等が語られています。
科挙の試験は、実力でぶつからないようにするため、生み出されたシステムだとのこと。実力がある者が権力をもつべきと考えて歴史を歩んできた日本との違いを感じました。
なぜ日本人の常識が通用しないのかという疑問へのヒントを与えてくれる内容になっています。
この3人で書いた「おどろきのキリスト教」もおもしろい本でした。
【市立図書館蔵書あり】本館 文庫新書コーナー 請求記号/302.2/オドロ/ 資料コード01514303
Nさん
■「雪のひとひら」ポール・ギャリコ/著 (新潮社)
「ある寒い日、雪のひとひらは生まれた」という冒頭から始まる小説です。
雪になぞらえて、ひとりの女性の誕生から死までの一生が、ファンタジックな形で描かれています。訳は矢川澄子さんです。
【市立図書館蔵書あり】「雪のひとひら」本館 地下一般 請求記号/933.7/ギャリ/ 資料コード41017622
■「私家版雪ことば事典」 八島信雄/著 (遥かな日のつどい刊行会)
同じく、雪について書かれた本としてこちらもお薦めです。「雪深い郷の百物語」という副題がついています。
作者は山形在住で、雪の仙人とも呼ばれています。作者の方に私がお薦めした「雪のひとひら」をエピソードも書かれており、自分にとってはとても思い出深い一冊です。
市立図書館ボランティアで選考している『小荷駄のみどり』出版文化賞を受賞しています(第4回)。
【市立図書館蔵書あり】本館一般開架 請求記号Y/94/ヤシマ/ 資料コード 01365851
Tさん
■「死ぬ瞬間と死後の生」 エリザベス・キューブラ・ロス/著 (中公文庫)
作者はホスピスの普及を後押ししたアメリカの精神科医。アメリカでは早くから末期患者の精神面の救済が必要とされ、死生学が発達しています。
この本では、「死はひとつの自然現象で、客観的に淡々と受けいれる事が必要」と説いている。また「死の瞬間を遠ざける事もよくない、死を通して沢山学ぶべきことがあるので大切にしよう」とも訴えています。
この点に自分も共感しました。というのも、自分自身は、かつて義父をみとった事があり、その時にどういう気持で亡くなったのかを聞くことができなかった事を大変後悔しているからです。これからは死にゆく人ももっと発言していったらよいと思っています。
読後、もっとがんばろうと元気になれる本です。死を考える事は、生きる事なのだと気づきました。
【市立図書館蔵書なし】
Obさん
■「念力家族」 笹公人/著 (インフォバーン)
現代日本の短歌集です。
短い言葉なのに、情景や状況がポンと頭に浮かびます。一種、マンガ的でもあり、現代短歌のとっかかりになる一冊だと思います。
【市立図書館蔵書あり】本館 一般開架 請求記号/911.1/ササキ/ 資料コード01350593
最後は時間をオーバーし、駆け足になってしまいました。進行をもっと工夫したいと思っています。ご参加のみなさん、ありがとうございました。
次回の“こにだブックトーク”は、4月20日に春の会を行う予定です。ぜひご参加ください。
2013年12月02日
ましませつこさんの講演会がありました
11月10日(日)に、市立図書館のお隣の南部公民館で
ましませつこさんの講演「絵本と わらべうたと 私」が行われました。
ましませつこさんは、昭和12年鶴岡生まれの絵本作家さん。
当日は、鶴岡での幼少時代の話にはじまり、
東京でデザインのお仕事をしながら、コンクールに取り組み製作した「わらべうた」ポスターのお話を経て、
最近の絵本づくりのうら話まで、2時間ほどかけてゆったりお話くださいました。
ましまさんは、0歳から楽しめるものなど、絵本を沢山製作されてきました。
最近ですと、長谷川摂子さんと一緒に作られた「このへやあけて」や、
わらべうたシリーズの「せんべせんべやけた」等の作品があります。
特に、現代的な絵を日本の伝統的な色合いや柄で描くことで知られています。
こうしたましまさんの感覚の原点は鶴岡時代にあったようです。
こどもの頃は、ご自宅の庭が遊び場で、兄弟や飼っている動物、昆虫といっしょに一日中遊んでいたとのこと。
元気な女の子だったんですね。
それぞれが担当する花壇があり、ポピーの花を育てた事を「本当にきれいで、とてもうれしかったの」と、
少女のようにニコニコされながら、楽しそうにお話くださいました。
その庭からは、“きれい”だけではなく、“きたない”や“こわい”も学んだとのこと。
五感を育んだお庭だったようです。
東京で働いている間も、ご実家はましまさんにとってヒントの宝庫として存在。
帰省した折に、自宅にある古い道具や着物を、改めて新鮮な目でみて、
その美しさや面白さに気づいたというお話でした。
伺っていて、魅力に気づく眼力と、それをアレンジして自分のものにするセンスが、
ましまさんの創作を支えているのだと思いました。
会場には、ましまさんが絵本をつくるきっかけになった
ご実家の子供の着物や布のおもちゃなどが並びました。
どれも、昭和より古いのではと思われるものですが、
手入れされ色あせずとても美しかったです。
「古いものを大切に」とはよく言いますが、実際はなかなか難しいものです。
こうして慈しんで大切になさっている姿勢に感銘を受けました。
あと、「絵描き歌は日本特有のもの」というお話も興味深かったです。
「へのへのもへじ」や「かわいいコックさん」をはじめとする、あの絵描き歌です。
子供がひとり遊びを楽しむ、ああいった歌は世界の中では珍しいようで、
それを題材にした絵本は、海外に行かれた時に面白がられたそうです。
最後に、「三匹チュー」という指人形遊びも
当ボランティア仲間と一緒に披露していただきました。
写真はその様子です。
あっという間の2時間でした。
ましませつこさんの絵本は、市立図書館に多数ありますので、ぜひお借りになってみてください。
ましませつこさんの講演「絵本と わらべうたと 私」が行われました。
ましませつこさんは、昭和12年鶴岡生まれの絵本作家さん。
当日は、鶴岡での幼少時代の話にはじまり、
東京でデザインのお仕事をしながら、コンクールに取り組み製作した「わらべうた」ポスターのお話を経て、
最近の絵本づくりのうら話まで、2時間ほどかけてゆったりお話くださいました。
ましまさんは、0歳から楽しめるものなど、絵本を沢山製作されてきました。
最近ですと、長谷川摂子さんと一緒に作られた「このへやあけて」や、
わらべうたシリーズの「せんべせんべやけた」等の作品があります。
特に、現代的な絵を日本の伝統的な色合いや柄で描くことで知られています。
こうしたましまさんの感覚の原点は鶴岡時代にあったようです。
こどもの頃は、ご自宅の庭が遊び場で、兄弟や飼っている動物、昆虫といっしょに一日中遊んでいたとのこと。
元気な女の子だったんですね。
それぞれが担当する花壇があり、ポピーの花を育てた事を「本当にきれいで、とてもうれしかったの」と、
少女のようにニコニコされながら、楽しそうにお話くださいました。
その庭からは、“きれい”だけではなく、“きたない”や“こわい”も学んだとのこと。
五感を育んだお庭だったようです。
東京で働いている間も、ご実家はましまさんにとってヒントの宝庫として存在。
帰省した折に、自宅にある古い道具や着物を、改めて新鮮な目でみて、
その美しさや面白さに気づいたというお話でした。
伺っていて、魅力に気づく眼力と、それをアレンジして自分のものにするセンスが、
ましまさんの創作を支えているのだと思いました。
会場には、ましまさんが絵本をつくるきっかけになった
ご実家の子供の着物や布のおもちゃなどが並びました。
どれも、昭和より古いのではと思われるものですが、
手入れされ色あせずとても美しかったです。
「古いものを大切に」とはよく言いますが、実際はなかなか難しいものです。
こうして慈しんで大切になさっている姿勢に感銘を受けました。
あと、「絵描き歌は日本特有のもの」というお話も興味深かったです。
「へのへのもへじ」や「かわいいコックさん」をはじめとする、あの絵描き歌です。
子供がひとり遊びを楽しむ、ああいった歌は世界の中では珍しいようで、
それを題材にした絵本は、海外に行かれた時に面白がられたそうです。
最後に、「三匹チュー」という指人形遊びも
当ボランティア仲間と一緒に披露していただきました。
写真はその様子です。
あっという間の2時間でした。
ましませつこさんの絵本は、市立図書館に多数ありますので、ぜひお借りになってみてください。
2013年10月24日
第1回こにだブックトーク、行いました!
9月8日(日)に、おすすめの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク』を行いました。
読書会には、いろんな種類があるようですが、『こにだブック-トーク』は、“図書館で借りられる本を中心に、自由におすすめの本を紹介する”というスタイルをとっています。
第1回目の「こにだブックトーク」の様子を今回はリポートします。
当日お集まりいただいたのは男女10名。年齢は推察するに20代~70代位でしょうか。図書館という公共スペースにふさわしく、幅広い年代の方にお集まりいただけました!
他の読書会への参加経験のある方や、「小説家になろう講座」に通っている方等、もともと本に関心の高い方に加えて、ちょっと誘われて様子を見にきた方など、いろいろな経緯でこの場に集ってくださったみなさんでした。
軽く自己紹介をしていただいた後、さっそくブックトーク開始です。
当日、紹介された主な本とお薦めポイントはこんな感じでした。
Iさん
■「もの食う人びと」辺見庸/著 (共同通信社)
身近な食を切り口にしたルポルタージュです。20年も前のものですが、今でも本質的な問題意識は古びていない感じです。
アジア、中東、ロシア、アフリカなどを巡り、紛争・戦争・貧困といった厳しい現実を描いています。
そうした中で、時折見られる美しい詩的な表現の意外性に惹かれました。そんな一節があるので、普段あまりノンフィクションを読まない自分でも引き込まれて読む事ができました。
・編集部談/辺見庸さんはこの後、詩や小説も書いており、そちらを読んだという方がいらっしゃいました。
【市立図書館蔵書あり】本館/地下一般 請求記号/916/ヘンミ/ 資料コード01248405
■「雪沼とその周辺」堀江敏幸/著 (新潮社)
架空の地方“雪沼”とその周辺にすむ人々の“ある日”を切り取ったアンソロジーです。喪失感や思い通りにいかない違和感、ちょっとした緊張感も描かれていて、一辺倒な心温まる話ではない点に逆に親しみを感じます。古いものが大切なモチーフになっている点も好きです。
【市立図書館蔵書あり】 ①本館 一般開架 請求記号/ /ホリエ/ 資料コード ②中央分館 中央分館請求記号/ /ホリエ/ 資料コード
Aさん
■「ザ・対決」「ザ・勝負」清水義範/著 (講談社)
ラジオで『ザ・対決』の[桃太郎vs金太郎]を聴いたのが本を知るきっかけに。馬鹿らしいけれどあまりに面白くて本を手にとりました。
[桃太郎VS金太郎]をはじめ、他の組みあわせも意表突き、抱腹絶倒な対決が楽しめます。
なんと桃太郎と金太郎は、古式泳法などを披露しつつ、トライアスロンで勝負しています(笑)。桃太郎は部下の犬に命じて相手がどんなヤツかを調べさせたりもしているんです。
・編集部談/桃太郎さんは、意外にも人間臭いんですね、笑いを誘います。ユーモアあふれるご紹介で一同気持がほぐれました。
【市立図書館蔵書あり】 「ザ・対決」本館 一般開架 請求記号/ /シミズ/ 資料コード01284967
Sさん
■「ワセダ三畳青春記」高野秀行/著 (集英社文庫)
探検家にしてモラトリアムという青年が主人公。
冒険で世界を飛び回っているのですが、帰ってくるのは早稲田の三畳のアパート。その11年も住みつづけたアパート野々村荘を出て、新しい世界に向かうまでの青春が綴られています。
司法試験を受け続ける40代、宮城山形の県境にUEOの基地があると主張する人等、他の住人が個性的で面白いです。通過する人もいれば、出て行く人もいるのですが、主人公は「これでいいのか」と悩みつつ長年住み、初恋を経てこのアパートを出ていきます。作家の学生時代の話を書いたもののようです。
【市立図書館蔵書あり】本館 文庫新書コーナー 請求記号/ /タカノ/ 資料コード01362233
■「江戸の怪奇譚」氏家幹人/著 (講談社)
ただ単に怖いというだけでなく、云われを踏まえつつ、怪奇現象を解説していて、大人が読んで面白い怪奇ものです。「美少年はさらわれやすい」というエピソードや「河童はストリートチルドレンである」などの興味深い説が読めます。
・編集部談/今回「美少年はさらわれやすい」・・・とても気になります(笑)。
【市立図書館蔵書あり】中央分館 中央分館 請求記号/388.1/ウジイ/ 資料コード01453162
Nさん
■「ひとり(淡交社)」「美のエナジー(二玄社)」「受いれる(小学館)」「求めない(小学館)」他 加島祥造/著
文章を読んで絵が見える本です。
作者は英文学者で、英語で老子を読み、タオを学び、それに裏打ちされた人生についての本を書いています。英訳された老子から入ったという経緯が変わっています。
この人のファンで、実は長野の駒ケ根にお宅に遊びに伺いました。仙人のようなところと俗っぽいところの両面があり、魅力的な人物でした。意外に豊かに暮らしているのだなとも感じましたね。
自分は、本は表紙から入るタイプですが、この方はタイトルがいいんです。「求めない」「受いれる」等、タイトルだけでも力を感じます。詩にあわせて絵を書き、また絵にあわせて言葉を書いています。
・編集部/お宅に伺ったというエピソードに一同、ビックリしました!。
【市立図書館蔵書あり】「ひとり」本館 一般開架 請求記号/914.6/カジマ/ 資料コード01381087 他も蔵書多数あり(本館・霞城分館・中央分館他)
Tさん
■「原発のコスト ~エネルギー転換への視点~」大島堅一/著 (岩波新書)
安いと考えられていた原発コストが、算出方法によっては高い事を示すなど、原発を考えるのに有益な入門書です。2011年12月に発行されています。
技術開発、立地への対処、交付金等、政策コストを足さない計算だと、原子力は火力などと比較して安いのですが、それが妥当ではないということが説明されています。その他にも、バックエンドコストと呼ばれるリサイクルに関するコストもかかってきます。こうしたコストは、税金で賄われる社会的なコストでもあり、無関心ではいられないと思います。
・編集部談/多くの方にとって、気になるテーマであったのか、質問がいくつか出ておりました。
【市立図書館蔵書あり】本館 文庫新書コーナー 請求記号/539.0/オオシ/ 資料コード01503335
■紹介せずに聞くだけ参加の方からも、最近読んだ本についてエピソードをお話いただきました(漱石の「こころ」、時実新子の川柳、自閉症家族のドキュメント等)。
最初は堅かった雰囲気も、最後にはゆったりなごやかな感じに。初対面同士でも、また世代が異なっても、本が“なにかしらのかけ橋”になってくれるということを感じました。ご参加のみなさん、ありがとうございました。
“こにだブックトーク”は2014年1月に冬の会を行う予定です。ぜひご参加ください。
2013年07月16日
「絵本とわらべうたのひろば 夏の巻」
7月7日、七夕の日曜日に「絵本とわらべうたのひろば」というイベントを行いました。
広報スタッフも初参加してみましたので、今回はその様子をリポートします。
当日ご参加くださったのは、~4歳位までの小さなお子さんとそのおかあさん、おとうさん、おばあちゃんの12-3組のみなさま。おにいちゃんやおねえちゃんと一緒に来てくれたご家庭もあり、ボランティアスタッフを含め総勢25名位でにぎやかな会でした。
この「絵本とわらべうたのひろば」という催しは、絵本や紙芝居のよみきかせだけでなく、わらべうたでからだを使って言葉と音を楽しむのが特徴。
この日のうたは、こどもの時に自分も歌った記憶のある「なべなべそこぬけ♪」「ふねのせんどさん♪」や、はじめて聞く「かごかごじゅうろくもん♪」でした。
スタッフをまねて歌を口ずさみながら、お子さんがパパやママと組みになって手遊びをしたり、全員で大きな輪になって回ったりと、元気にワイワイキャーキャーとお遊びをしました。
例えば、、パパと一緒にトンネルをつくって、みんなを通してあげたり(なべなべそこぬけ)、深い川に見立てた輪の中央にザブ~ンと放られてみたり(かごかごじゅうろくもん)、ママとぎったんばっこんしたり(ふねのせんどさん)等。
大ぜいのみんなで遊ぶのは楽しかったですね。お子さんはもちろん、パパもニコニコでした!。実はこのイベントにはパパの参加も多いのです。
“わらべうた”というと若いママにはちょっと馴染みが薄いかもしれませんが、はじめて聞くうたでも、なんとなく口ずさめてしまうのには、初参加の当スタッフもちょっとびっくり。親しみやすくて、楽しいお遊びができるということを、今回改めて実感しました!
絵本のよみきかせで登場したのは、あつ~い夏にちなんで「水」や「夏野菜」をテーマにした『ぞうさんのさんぽ(作/なかがわひろたか)』と『やさいだいすき(作/柳原良平)』。
『やさいだいすき』では最後にみんなの大好きなカレーライスが登場します。紙芝居でもケーキが出てきて、「食べた~い」の歓声があがりました。
図書館スタッフの方からもお薦めの絵本の紹介がありました。こちらのテーマは『帽子』。夏になって欠かせない帽子が登場する絵本を沢山教えていただきました。
タンタンのお話や、だるまちゃん、イエペもありましたね。その場で、借りたい絵本を見つけることができるんです(カウンターで借りる処理は必要です)。何冊も選んだお子さんもいましたよ。
あっという間の1時間。みんな楽しんでくださったようで、スタッフ一同もうれしかったです。
「絵本とわらべうたのひろば」は季節毎に開催しています。
ボランティアグループでは、こうした“わらべうた”を取り入れた読み聞かせを、0歳時の赤ちゃんから楽しんでもらえるように活動を続けています。“わらべうた”を「ことばの離乳食」として捉え、その先の「絵本」への橋渡しになるものと考えているからです。
次回は10月に“秋の巻”を予定しています。
事前申し込みは不要で気楽にご参加いただけますので、ぜひ遊びにいらしてください。
(註)プライバシー保護のため、画像は修正しています。
(文責:企画広報担当・五十嵐)