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2015年04月05日

3月のこにだブックトークレポートです


年度末が押し迫る3月22日(日)に、おすすめの本を互いに紹介しあう『こにだブックトーク』を行いました。
この日の夜はモンテディオのJ1ホーム初戦。午後に読書会を設定すると、応援に行くのに時間がせわしない! ということで、初の午前開催となりました。
春の朝は爽やかで、ちょっとすがすがしい心持になり、次回も午前開催にしようかなと考えています。
当日お集まりいただいたのは8名。お忙しい中、ありがとうございました!

今回、紹介されたのはこちらの本です。

Iさん
■「世界文学は面白い~文藝漫談で世界一周」奥泉光・いとうせいこう/著 (集英社)
タイトルの副題にある“文藝漫談”というイベントに、ここ数年ハマっています。山形三川出身の奥泉先生といとうせいこうさんが、世界の名作小説を漫談風に公開で読み説くというもので、東京で年3-4回行われています。“光がボケて、いとうがツッコむ”というキャッチコピーがあるほどで、ふたりの掛け合いが非常に可笑しく、地味で堅めな名作のもつ思わぬ魅力を、笑いながら発見できます。
『世界文学は面白い~文藝漫談で世界一周』は、そのイベントの誌面による再現の本で、臨場感のあるかけあいが掲載されています。 取り上げられている名作は「カフカ/変身」「ゴーゴリ/外套」「ガルシア・マルケス/予告された殺人の記録」「魯迅/阿Q正伝」等。なかなか手が伸びない堅い作品が多いですが、この本に誘われて読んでみると意外な面白さを発見。対象の本を読んだ後で、彼らのコメントを再読してみると、共鳴できるツッコミが多く、ひとり読書の寂しさも解消できます。古い文学作品へのとっかかりとしてお薦めします。
最近の文藝漫談の様子は、文芸誌『すばる』で年数回掲載されていますのでそちらもぜひ読んでみてください!最新のものは2015.5月号で、「ナボコフ/ロリータ」が掲載されています。過去のものでは「小島信夫/アメリカンスクール(2013.5月号)」もお薦めです。
「世界文学は面白い~文藝漫談で世界一周」【市立図書館蔵書なし】【県立図書館蔵書あり】
文芸誌「すばる」【市立図書館蔵書あり】 本館ブラウジング

HSNさん
■「星の林に月の船~声で楽しむ和歌・俳句」大岡信/編 (岩波少年文庫)
この本で、学生時代に親しんだ詩に再会できました。
時代毎の和歌や俳句を紹介した本で、一つずつ解説もついています。
タイトルは柿本人麻呂の歌の一部。万葉集にある古い歌で、三日月の夜空を詠んだものですが、現代人も惹かれるような、美しく、みずみずしい描写です。
今の季節だと、井原西鶴の詠んだ春の歌に心が弾みます。季節毎の詩を拾い読みしても楽しいと思いました。
また、時代を網羅しているので、“万葉集の頃はおおらか、新古今和歌集の頃は技巧にすぐれている、江戸時代は町民の心を読んだものが多い”等、その時々の傾向の違いも伝わってきます。
少年文庫ですので、気軽に読めるところもお薦めです。副題にあるように、“声に出して耳から読む”と“目で読む”のとはまた違った趣がありますので、ぜひ声に出して読んでみてください。
「星の林に月の船」【市立図書館蔵書あり】 本館ヤングコーナー 請求記号/911/ホ/

Tさん
■「地方消滅」増田寛也/著 (中公新書) 「地方消滅の罠」山下裕介/著(ちくま新書)
「地方消滅」は、20-35歳の女性人口に着目して、地方の人口減少を語った社会評論です。
“日本の自治体の半数は、25年後に人口が半減する”という衝撃的なレポートになっており、“増田レポート”と注目されている本です。作者が対応策として挙げているのが、“中核都市を社会的流出を防ぐ人口のダムにする”という考え方です。
この点を批判して、山下裕介という社会学者が『地方消滅の罠』『限界集落の真実』といった本を書いています。
増田レポートでは明示していませんが、人口ダムの策をとれば中核都市以外の地域をつぶすことになり、この点を山下氏は批判しているわけです。代わりに、“中核都市だけでなく、1つ1つの集落に注目する”立場を取っています。“高齢者しかいない集落でも、何かあれば出ていった子供たちが集落に集まってくる、そういった形で集落を残す”事を提案しています。
増田レポートで、“8割以上人口減少する”とされている5県に山形も含まれています。両者の本を理解することは、将来を考える上で役立つことと思います。山下裕介氏は他に『東北発の震災論』という本を書いており、こちらもお薦めします。
あと、時間切れで中身を紹介できませんでしたが、「アベノミクスの終焉」服部茂幸/著(岩波新書)も、興味深く読みました。
「地方消滅」【市立図書館蔵書あり】 本館 特集 請求記号/334.3/マスダ/
「地方消滅の罠」【市立図書館蔵書あり】 本館文庫新書コーナー請求記号/361.7/ヤマシ/

HSYさん
■「恋しくて」村上春樹/編訳 (中央公論新社)
村上春樹が好きです。その村上春樹がセレクトし、翻訳した10作品の恋愛小説アンソロジーがこの本です。春も近いですし、恋の本もいいかなと思って今日持ってきました。
雑誌ニューヨーカーで紹介された小説がベースで、あまり知られていない作者が多かったですが、1篇ずつ、村上春樹が解説をつけていて楽しめます。一緒に恋愛甘苦度が★で記されているところも面白いです(苦い★★★★ 甘い★等)。
村上春樹自身も1篇書いています。タイトルは『恋するザムザ』。ザムザと言えば、カフカの『変身』を思い出しますが、こちらは虫が人間になる小説です。
人間には当然と思える様々な習慣が、虫出身の彼には思いもよらないことで、ザムザは「人間ってなんて面倒臭いんだ」と感じながら人として生活しています(ex.フォークやナイフを使って食事をしないといけない、恋を成就させるために相手といろいろやりとりしないといけない等)」。この辺り、自分にとっては、改めて人間の暮らしぶりがとても新鮮に読め、興味深かったです。
ちなみに、カフカのザムザと違って、最後は希望が持てる展開になっていて、人として生きる事の喜びも感じていきます。
「恋しくて」【市立図書館蔵書あり】 本館 一般開架 請求記号/908.3/コイシ/

Oさん
■「火天の城」山本兼一/著 (文藝春秋)
ジャケ買いした本です! 本の本体に安土城のイラストが、それを包む透明の外カバーに安土城の図面が描かれていて、目を惹きました。
こちらは織田信長の安土城を建てた大工棟梁の物語。この棟梁の名字が自分と同じで、そんな有名なO一族もいるのかと思って、更に読みたくなりました(笑)。
安土城は、今は存在しないまぼろしの城。信長の命で七重の塔として計画され、その為には45センチ角×16メートルの通し柱が4本必要とされました。そんな条件にかなう木の樹齢は2500年にもなります。それほどの木を探す困難や運搬する困難などが築城にあたって待ち構えています。
信長は「建てる」と言うだけですが、それを実現するのは現場の棟梁。作者の山本兼一は、そんな表舞台に出ない人に光を当てており、この本は困難に立ち向かう棟梁一家の家族の物語となっています。
綿密に取材をしたようで、先ほどのような築城の大変さの詳細な描写も読みどころです。
この作品は映画化もされました(西田敏行が主役の棟梁役)。同じ作者の直木賞受賞作「利休にたずねよ」も映画になりました。
もっと追いかけていきたい作家だったのですが、昨年57歳で亡くなりました。とても残念です。
【市立図書館蔵書あり】 本館・中央分館・北部分館・霞城分館 一般開架 請求記号/ /ヤマモ/

Yさん
■「九年前の祈り」 小野正嗣/著 (講談社) 「浦からマグノリアの庭へ」 小野正嗣/著 (白水社)
「九年前の祈り」は芥川賞を受賞する前に雑誌で読みました。大分のリアス式海岸の集落で暮すシングルマザーが主人公。音楽を聞いているような語り口調で、ゆったりした気持ちになります。これはきっと大分の方言がそういう気持にさせるのだと思いました。山形弁ではこういう空気感は表わせないのではと感じました。
「浦からマグノリアの庭へ」は、その作者がフランス留学時代を振り返ったエッセイ。下宿先の教授宅で一緒になるアフリカ系難民の存在等、現代フランスに通ずる社会状況も伺えます。自分の知らない世界に運んでいってくれるエッセイです。
「九年前の祈り」【市立図書館蔵書あり】 本館・霞城分館 一般開架請求記号/ /オノマ/
「浦からマグノリアの庭へ」【市立図書館蔵書あり】 本館特集 1請求記号/914.6/オノマ/

■「洋子さんの本棚」 小川洋子・平松洋子/著 (集英社)
読書家で知られた、二人の洋子さんが子供の頃から読んできた本について語っているエッセイ。
思春期にどんな本を読んだのかや、その頃の母と娘の想い、進路の選び方等が書かれています。女性が読むと、「私も読んだ」「そんなふうに感じていた」と共感する部分が多いのでは思います。
「洋子さんの本棚」【市立図書館蔵書あり】 本館新着本コーナー請求記号/019.9/オガワ/

■「サンドリーヌ裁判」 トマス・H・クック/著 
夫婦の深層心理をベースにしたサスペンスです。
「サンドリーヌ裁判」【市立図書館蔵書あり】 本館新着本コーナー請求記号//933.7/クツク/


ご参加のみなさま、いろんな視点の本をご紹介くださり、ありがとうございました。

今回、午前に開催してみて、休日の朝、図書館で好きな本についておしゃべりするというのは、なかなか気持ちのよいものだと思いました。進行など未熟な部分も多いと思いますが、参加のみなさんのお力もお借りして、今後も“こにだブックトーク”を楽しい時間にしていきたいと考えています。
次回は6月に開催予定。興味を持った方、いらっしゃいましたら、ぜひお気軽に遊びにいらしてくださいね。


3月のこにだブックトークレポートです


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Posted by 図書館ボランティア「小荷駄のみどりから…」 at 18:22│Comments(0)イベント開催報告
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